アラン・チューリングと人工知能

チューリングと言えば「暗号解析」となります。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」という映画の主人公にもなりましたが、この映画では、感じのよくない天才として描かれていたので、最後までは見ませんでした。

ドイツが使用していた、エニグマ暗号機を利用した通信の暗文を解読する(その通信における暗号機の設定を見つける)ための機械 bombe を開発したことで有名。「エニグマ」に関しては詳しい記事もありますが、高度な話なので深追いはしません。

戦後はマンチェスター大学で数理生物学に興味を持つようになり、形態形成の化学的基礎についての論文を書き、発振する化学反応の存在を予言した。

1952年、同性愛の罪(風俗壊乱罪)で警察に逮捕され、保護観察の身となり、1954年に41歳で死去。検死によると、青酸中毒による自殺と断定されたが、母親や一部の友人は事故だと信じていた。

16歳の時にアインシュタインの文書を理解するくらいの特異な才能を発揮している。1950年に人工知能について問題提起をしている。それを「チューリング・テスト」と呼ぶ。

機械を「知的」と呼ぶ際の基準を提案したもので、人間の質問者が機械と会話をして人間か機械か判別できない場合に、その機械が「思考」していると言える

最初から大人の精神をプログラムによって構築するよりも、子どもの精神をプログラムして教育によって育てていくのがよいと示唆しているとのことですが、ChatGPTでは、膨大な大人の発話をベースにしてパターンから文章を作成しているようです。チューリングが考えたような、人間の言語能力の発達を模してるわけではないけれど、それらしい文章が作られるところまではやっと来たという感じ。

1952年から1954年まで数理生物学、特に多細胞生物の個体発生における形態形成に関する研究を行い、それがどのように生じるかについて仮説を提唱した。反応拡散系と呼ばれる偏微分方程式系で反応を抑制する因子の拡散が活性化因子よりも速いとき、チューリング不安定性と呼ばれる不安定化を起こして形態形成の手がかりとなる空間構造を生み出しうることを指摘している。

チューリングが不幸だったのは暗号解読という軍の機密に関する仕事に従事しており、そのことは公表できなかったため、彼の先進的なコンピュータの提案が受け入れられなかったことにある。

隔離された部屋にいる一人の人間が、別の部屋にいる男性と女性に質問する。そしてその答えを書面で受け取り、両者の性別を判断する。このとき、回答者の一人を機械に置き換え、それが人間のような回答を出して質問者をだますことができれば、その機械は「知能」を持っていると言える

これがチューリングによる「イミテーションゲーム」であり、「チューリング・テスト」とされている内容である。

同性愛が明るみに出たことで「セキュリティー・クリアランス」を失い、女性ホルモンの投与をされることとなる。1954年に青酸中毒で死亡する。ベッドの脇には齧りかけのリンゴが落ちており、それが「Apple」という企業の名前とロゴになる。

「いつの日か機械が互いに教え合うようになるかもしれないと予測」し、「もし機械が思考できるとしたら、私たちよりも賢い思考をするでしょう。そうなったとき、私たちはどこへ行くのでしょうか?」

ChatGPTを見る限りは、そうなる日が近づいているとはいいがたい気もする。

セキュリティー・クリアランスについて

ChatGPTに「セキュリティ・クリアランス」の沿革を調べてもらったら、1953年に アメリカ合衆国政府が、安全保障上の理由により、機密情報にアクセスするために必要なセキュリティクリアランスを導入したと表示されました。イギリスでチューリングがセキュリティ・クリアランスを失ったのがいつのことかはわかりませんが、日本と比べると格段の違いがあります。

今話題の高市大臣が経済安全保障大臣を拝命した時にセキュリティ・クリアランスをやりたいと岸田首相に申し出たときに「中国」と「セキュリティ・クリアランス」は口が裂けても言わないでくれと言われたとか。中国のスパイ活動が阻害される懸念があったからなのでしょうか。

急転直下、セキュリティ・クリアランスの法制化を1年以内に立ち上げる方向で有識者会議が立ち上げられていますが、高市大臣が進行役とのこと。どのみち、抜け穴だらけのざる法になることでしょう。

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