「G47Δ」国内販売名はデリタクト注

ウイルスといえば、今世間を騒がせている「新型コロナウイルス」を想起してしまいますが、口唇ヘルペスと言う強力なウイルスの遺伝子を操作することで、癌細胞だけを破壊する、人類にとっての朗報となるウイルス治療薬にすることができるというめでたいお話です。

手術ができない脳腫瘍に「G47Δ」という癌治療用のウイルスを使うことで腫瘍が消えたという記事を雑誌で読みました。

そこで調べてみると「東京大学医科学研究所」から「がん治療用ヘルペスウイルスG47Δの実用化へ最終段階-世界初の脳腫瘍に対するウイルス療法製品-」と言う記事が見つかります。

日付が書いていないことと字が小さいことが気になりますが、ようは2020年12月28日に悪性神経膠腫を適応症とする製造販売承認申請が行われ、G47Δは実用化への最終段階に到達したという内容です。

簡単な説明では、癌にしか感染しないウイルスによって、感染した癌細胞が破壊されるという画期的な仕組みだそうで、大学主導で実用化し先進国初のウイルス療法だそうです。

2021年12月21日の「文春オンライン」には「『1年生存した患者は19人中16人』人類の『敵』と見なされがちなウイルスを『味方』に、新しい治療薬G47Δの驚きの臨床試験結果」という分かりやすい記事が掲載されています。

膠芽腫」という悪性の脳腫瘍の場合、5年以内に死亡することを前提に放射線を限界まで照射するのが今までの治療だったようですが、当然のことですが強力な副作用にも見舞われました。

すごいのは第2相臨床試験が「有効中止」になったことです。

有効中止」というのは、治療開始後1年間生存した患者の割合が92.3%であったため「有効性」が認められ臨床試験が中止になったということです。

さて、このウイルス療法は膠芽腫だけに有効と言うことではなく、あらゆる固形癌に有効であることが動物実験で示されているとのことで2013年からは前立腺癌での臨床試験を実施しているとのことです。

2022年2月14日掲載の「杏林大学医学部付属病院」の記事に「前立腺癌に対するウイルス療法の臨床試験 開始へ」というのがあり、分かりやすく説明をしています。

要点として、前立腺癌は転移していなければ5年生存率は100%に近いそうですが、転移してからだと治療を行っても約半数が癌死にいたるとのことで、PSAを適宜チェックしていく必要があります。

杏林大学では2020年12月に東京大学から承認を受け厚生労働省からの承認も受けたので、臨床試験を開始するとのことでした。

今後は加速的にウイルス療法の固形癌に対する臨床試験が開始されることが予想されるので、これから癌になりそうな人にとっては素晴らしい時代の幕が開きそうです。

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