「アンメット・メディカル・ニーズ」への対処

アルツハイマー

「アンメット」は英語で「Unmet」と書く。日本語にすると「いまだ充たされていない」ということ。「Unmet needs」とすれば、「顧客の潜在欲求」のような使い方になる。

間に「メディカル」を入れると、「いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ」となる。

たとえば、アルツハイマーではタウというたんぱく質がたまることで神経細胞を死滅させることが分かっているので、タウを排出できればアルツハイマーを改善できることになる。

グリアリンパ系の「アクアポリン4」というたんぱく質がタウを脳の外に排出していることが分かってきた。アルツハイマー病の患者は、タウの排出が悪くなっているというデータが示されている。よって、グリアリンパ系を活性化させられれば、アルツハイマー病を治療でいるという仮説を立てることができる。

そこで、「アクアポリン4」としてネット検索すると、「アクアポリンは細胞膜に存在し、細胞膜内外の水分子の移動を調整する分子」とヒットした。「抗アクアポリン4抗体陽性」によって、視力低下、視野欠損などが起きるようで、「細胞膜内外の水分子の移動を調整する分子」と説明されている。

その説明では視覚の方の話であって「抗アクアポリン4抗体陽性」とアルツハイマーとの関連については触れられていないので、何とも言えないが、単純に「アクアポリン4」を増やせばメデタシメデタシとはならないような気もする。

真正多血症

95%を超える真性多血症患者にJAK2遺伝子の突然変異がみられる病気で、赤血球が異常に増殖してしまい、血液がドロドロになることから血栓ができたり、動脈が閉塞したりする。発見は、症状が出ることことから見つかることがほとんどなので、どれだけの患者がいるかは不明。概ね10万人に2人程度と推定されている。

遺伝病なので根治は難しい。あくまでも対処療法になるが血栓を起こさせなければいいことになる。治療薬としてインターフェロンから作られた薬によって治療ができるが、元来は、ウイルスに感染した時に分泌される成分なので副作用が非常に強い薬になる。

そこでインターフェロンに「ペグ(杭)」を付けることで血液中の残留時間を増やせることと副作用を軽減できることを台北の製薬会社が発見した。しかし、インターフェロンにはペグがつく部位が8か所(最大で14か所)あるが、特定の部位にペグを付けられるようになったことが革新的技術となっている。

このペグ付きのインターフェロンによってAK2遺伝子が減少するという効果がみられるとのこと。可能性として真正多血症を治癒に導くことができる可能性が出てきた。

まとめ

不治の病を克服するための創薬において不可欠なのが「基礎研究」になるが、ここは頭がよくなければブレークスルーを起こせず、かといってアメリカのように多額のお金を集めて製薬ベンチャーのように金儲けに直結していれば、一獲千金を求めて優秀な頭脳が集まるのかもしれないけれど、一般的には「基礎研究」は地味でお金に縁もなく、研究すれば必ず成果が出せるわけでもないので、医師免状を取って開業するほうが気が楽かもしれない。

医科歯科大学と東工大が一緒になるとのこと。ここに不可欠なのが薬学部であり、一獲千金を狙えるのも薬学部だし、ノーベル賞も夢ではないのが薬学部だし、「アンメット・メディカル・ニーズ」に応えるのも薬学部のような気がする。

これからは医学部よりも薬学部のほうが金儲け(それも大儲け!)には近い気がするが、AIとの戦いになってもいくから大変だ。