「徒然草」の108段
寸陰惜しむ人なし。これ、よく知れるか、愚かなるか。愚かにして怠る人のために言はば、一銭軽しと言へども、これを重ぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の、一銭を惜しむ心、切なり。刹那覚えずといへども、これを運びて止 […]
順天堂と明治早々の医療
司馬遼太郎の歴史小説に『胡蝶の夢』というのがある。黒船来航によって幕末の日本が大きく動き出す中、蘭学を学び、幕府の奥医師となった松本良順と、彼の弟子である島倉伊之助(司馬凌海)の生き様を描いた作品であるけれど、これがなぜ […]
運命の分かれ道《オー・ヘンリーの場合》
イヴォンヌとケンカしたダヴィドは村を出てパリを目指した。 左の道 15キロほど歩くとT字路となりダヴィドは迷った後、左へ行くことにした。 30分ほど歩くとぬかるみにはまって難儀している馬車が見えたので手伝ってやったら紳士 […]
道元の和歌にしびれた
世の中は 何に喩えん 水鳥の 嘴ふる露に 宿る月影 月影というから時間帯は「夜」とか、あるいは太陽が昇る直前位でしょう。そんな時間帯に湖畔とか川辺に水鳥が水面に嘴(くちばし)を入れて、プルプルとふるうと、何千、何万もの水 […]
「奉教人の死」と「二人の稚児」
芥川龍之介のバックボーンは、芳醇な言葉の才能と、そしてあふれんばかりの知識だなと、つくづく感じさせられます。「侏儒の言葉」などに端的に表れています。 「奉教人の死」とは、彼の「切支丹」物の一つになります。とくに有名なのが […]
谷崎潤一郎が書く「藤原国経」とは
藤原国常という人のことは、「大鏡」には陽成天皇のところで基経と国経らが、在原業平が連れ出した藤原高子を取り戻しに行くところに登場します(高子はのちに清和天皇の妃となり陽成天皇の母となります)。 そのほかとしては「今昔物語 […]
「看板」と勝手な記憶
2023年9月3日の夕焼け。浅草寺が真っ赤に燃えていました。 で、池波正太郎の「看板」を、おそらく20年ぶりくらいで再読しました。この「看板」は大好きで人にも勧めてきましたが、再度読んでみると、ずいぶん記憶と違っていたの […]