「エコノミック・ステーツクラフト」って何?

エコノミック・ステーツクラフト」が翻訳できないから、日本語では意味が分からない。「Statecraft」は「政治手腕」という意味らしい。同様に「セキュリティ・クリアランス」にも、言い得て妙なる日本語がないようだ。

その政治手腕をどのように発揮するかと言えば、直近ではオーストラリアが武漢ウイルスを詳細に調査するべきだと申し出たことに対して中国がオーストラリアのワインを禁輸したり、かつては尖閣問題で日本にレアアースを禁輸したりした。

日本も韓国の文政権において徴用工問題がこじれたとき、半導体材料(レジスト、エッチングガス、フッ化ポリイミド)の輸出規制に踏み切ったことがあった。

「経済を武器にして他国に影響力を行使する」ことを「エコノミック・ステーツクラフト」というようである。そのことを、日本では「経済安全保障」というようである。

守り:他国に依存することなく、戦略基盤産業(エネルギー、通信、食料、医療、金融、物流など)を強靭化する
攻め:国際社会において不可欠な産業を強化。民間の自助努力を後押しする

ひと通りの産業を自前でそろえ、なおかつ他国が欲しがる得意分野を民活で立ち上げ維持することを後押しするとのことであるが、そんなことがでいきれば苦労はしない。まして資源のない日本が「ひと通りの産業を自前でそろえる」ことなどできるはずもない。

そもそも、分業する意味は、その方が効率がいいからである。効率は資本主義のカナメである。効率を無視すれば経済成長はあり得ない。

コロナが拡大する時点でマスクも国産化できておらず、ダメ押しになったお笑いのような布製子供用「アベノマスク」も海外製だったし、その業者の選定も甚だ不透明だった。ワクチンも国産化できず輸入に依存した。

高市早苗さんが岸田内閣で経済安全保障担当大臣に就任するに及んで、岸田首相から「セキュリティー・クリアランス」と「中国」という名は、口が裂けても言うなと釘を刺されたらしいが、エコノミック・ステイトクラフトにおいてセキュリティー・クリアランスが重要な役割を果たす理由は、機密情報を扱う人物が信頼できる人物であることが求められるためである。

そのため、セキュリティー・クリアランスを通じて、安全保障を確保するための基盤を整備することが重要とされているが、岸田首相が高市大臣に口止めをした背景は、評論家の推理によると「自民党内の親中派」との闘争があるようだ。

高市大臣によると「外国人研究者のスクリーニングは第2弾でやります。これを入れると今国会では通りません」とのこと。

まとめ

エコノミック・ステーツクラフト」とは、簡略に言うなら経済を使った戦争のこと。「セキュリティ・クリアランス」とは安全保障上の機密を扱う政府職員や民間人らに情報へのアクセス資格を付与する制度。

政府が個人の身辺や民間企業の情報管理体制などを審査し適格性を評価する。米国では薬物の使用歴や借金など経済状況も調査する。機密情報の漏洩時には罰則を設けるとのことだが、一番、うかつそうなのが政治家とその事務所スタッフおよび秘書。

資格をどこまで及ぼすのかによって本気度が分かる。

チューリングは同性愛がばれてセキュリティ・クリアランスを失っている。1943年時点でオッペンハイマーにセキュリティ・クリアランスが与えられていなかった。米連邦捜査局(FBI)と陸軍諜報部(G-2)は、オッペンハイマーがソビエト連邦のスパイ組織とつながりがあるのではないかと疑っていたからだ。

こうしたことを考えると、日本において「情報」の管理という観点が欠落していることは自明で、それでも、さほどに致命的な事態にならない背景として、やはり終身雇用と年功序列という人事管理の在り方に安座していることと、権力中枢の戦前そのままの秘密主義に対して知ろうとしない国民の意識にある。

それがいいのか悪いのかは一概に結論をだせない。温厚で従順な民族としておくほうがいい鴨。