がん細胞が壊れていく「光免疫療法」

がん細胞の表面には他の正常細胞にはないタンパク質が多数分布している。この物質に蛍光物質をつけてやればがん細胞だけを光らせることができる。

〈IR700〉という光感受性物質を試してみると、きれいに光らない。

〈IR700〉は、フタロシアニンという色素を水溶性にするために、スルホ基を上下につけている。フタロシアニンは光や熱に強い性質を持つ色素で、道路標識や新幹線の車体の青に使われている。これを水溶性にしたのが〈IR700〉である。

がん細胞に〈IR700〉を付着させて近赤外線を当てるとがん細胞が壊れるのである。

これが「光免疫療法(PIT:Photoimmuno-therapy)」という治療法になった。

がん細胞と特異的に結合したIR700が、近赤外線を当てられると化学反応を起こし、がん細胞を破壊するということ。

価格を調べてみると1回の治療に約700万円程度かかるとのこと。切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がんに対する治療としてのみ、光免疫療法は承認されており、保険診療として受けることができます。

ただし、従来の治療法、例えば薬物療法や放射線療法が十分に受けられる場合はそれらの方法が優先される。

なぜ、標準医療にならないのかは不明だが、適応症は「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」に限定されており、化学放射線療法等の標準的な治療が可能な場合には化学放射線療法等を優先することが条件となっている。

特に重要なのが、「光の届かない部位には治療ができない」という点。 治療は近赤外線レーザーによる光照射が必要であるため、照射可能な範囲に限りがある。ある程度大きいサイズのがんの場合は、がんのかたまりにチューブを到達させて光ファイバーを入れ、がんの内側から照射する。

身体的負担や副作用が付き物の標準治療「手術療法」「放射線治療」「抗がん剤治療」とは違って、光免疫療法は従来のがん治療の常識を覆す可能性を秘めている。

付言

その割には、あまり耳にしないのはなぜだろう?

「光免疫療法」に「免疫」という文字がついているのは、がんが再発した場合、免疫細胞がいち早く反応してがん細胞に攻撃を加えるようになるとのこと。

しかし、免疫が高まることの機序についての説明がされていなかったのも、奇異な印象を受けた。

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