コロナ後遺症による免疫異常が改善か?

免疫系の異常な活性化は、感染から2年でおおむね鎮まるという論文が発表された。

新型コロナにかかった人のおよそ10人に1人は、疲労感、ブレインフォグ(脳に霧がかかったようにぼんやりする症状)、息切れ、動悸、抑うつなどの幅広い症状に悩まされる。こうした状態はまとめて「新型コロナ後遺症」と呼ばれる。

新型コロナ後遺症の原因はまだ解明されていないが、免疫系の異常な活性化が症状の持続に大きな役割を果たしていると考えられている。

多くの患者では、最初の感染から2年後には、免疫系の異常な活性化や自己申告の症状が大きく改善したことが示された。改善できなかった患者の理由は解明されていないが、他の異常が重複している可能背が指摘されている。

後遺症が残った患者に特有なことはサイトカインの血中濃度が高い傾向がある。

サイトカインの濃度は、通常ウイルスに感染し、回復してから30~90日で正常値に戻るのが通常である。

24ヶ月が経過し、免疫の異常な活性を示していたマーカーの値が正常に下がりだしていた。

ただし、免疫系のマーカーのみではなく、補体(主に肝臓で産生され血清中に存在する免疫機構にかかわる一連のタンパク質のこと)の活性や血液凝固の異常などの評価も、今後の課題としては残っている。

今回の調査では62%は症状が改善したが、マーカーの値が改善しても症状が改善できない患者も依然としている。

免疫系の異常な活性化のほかに、新型コロナウイルスの残存、休眠状態にあった他のウイルスの再活性化、自身の臓器や組織を攻撃する自己抗体の形成、腸内細菌叢の乱れなどが考えられている。

まだ、不明なことが少なくない上に、ワクチンの後遺症も解明されていない。こちらも免疫系の異常が疑われている。