ロシアが核攻撃をしたら

民主党のオバマ政権の末期、ロシアの核使用を想定した机上作戦演習を行い、具体的な報復の対象を選んでいた

47NEWS

ブルームバーグ通信によると、米国防総省傘下の国防情報局(DIA)のベリア局長は、ウクライナ軍の抵抗で侵攻が長引き通常兵器が不足する事態に陥れば、ロシアは核抑止力への依存を強める可能性が高いとする報告書をまとめていた。

ロシアによる戦術核の使用はあり得ない話ではない。

4月27日にプーチン大統領は、第三国がロシアに戦略的脅威を与えようとした場合は「電撃的で素早い対抗措置を取る」と述べており形勢次第では、核の使用は絶対にないとは言い切れない。

2016年に大統領の諮問機関である国家安全保障会議(NSC)で、クリミアに侵攻(2014)したロシアがバルト3国のいずれかに侵攻した場合、アメリカはどうするかについて議論をした。

通常戦力ではNATOがロシアに勝っており、ロシア軍を食い止めることは十分に可能である。その場合に、ロシアが限定規模の核攻撃を行うという想定だった。その場合に、米国の報復はどうするべきか?

もし、ロシアが核攻撃を行えばロシアを孤立させ、政治的、経済的打撃を与えるため国際社会を結束させる絶好の機会になると考えたが、核で報復することは制裁措置より効果が乏しいと考え「最初の対応」は核による報復ではなく、通常戦力によるもので落ち着いた。

その1か月後に再度NSC会合が開かれ、そこで、もし敵国が核攻撃すれば米国は直ちに核で報復するとの同盟国の信頼が崩れれば、米国を中心とする世界的な安全保障体制は崩壊してしまうという意見が出された。

次なる議論のテーマは、どこに報復するかだった。当初、カリーニングラードであったが、少なくともロシアの領土であるゆえにプーチンが黙ってはいられなくなることを懸念し、ベラルーシに落ち着いた。

ベラルーシに核を持ち込んだことは、これらを予測してのことかもしれないが、ベラルーシの国民全員が親ルカチェンコ、親プーチンであるわけではないのに、あり得ない判断のように思う。やるなら、ロシア国内で人的被害が最も少ないエリアに警告として核攻撃をするべきと思う。

同様の内容はトランプ政権時にも国防総省で行い、核による限定的報復を行うことが決定された。低出力仕様の潜水艦発射型弾道ミサイル「トライデント」を使うことも決まったが、ロシアが報復の報復として大陸間弾道弾を使う可能性があり、核使用が閾値を下げ世界の安全保障体制を脆弱にすると専門家は警鐘を鳴らした。

実際にロシアがウクライナに核を使用しなければ事態がどのように動くかは不透明であるが、報復がないことはあり得ない。その報復をプーチンが許容するとも思えないが、アメリカ本土を攻撃するとは考えにくい。

ヨーロッパのいずれかを攻撃すればNATOが報復する。そこで一番狙いやすいアメリカの同盟国は「日本」になるだろう。日本なら、少なくとも岸田政権がロシアに報復するとは考えにくい。

狙うとしたら「北海道」あたりだろうか。米軍基地もないし。