正帰還と負帰還

「正帰還(せいきかん)」とは、出力の一部を入力にフィードバックし、符号を逆にせず加算するシステムのこと。入力した信号と同じ向きで信号が帰ってくる。これにより、入力信号が強調される。

「正帰還」とは、燃え出すと温度が上がりさらに燃えやすくなるようなこと。現象をさらに助長する場合を正のフィードバック(正帰還)という。

逆に、燃え上がりすぎて酸素が不足してくると燃えようがなくなってくるような抑制をするような場合を「負帰還」という。

1回動き出すと、そのことで増幅がかかり行き着くところま止まらなくなってしまう。マイクをスピーカーに近づけるとハウリングするのも正帰還である。

小売の場面では、売れ行きの良い商品を売れやすいところにディスプレーすることで、売れ行きの悪い商品が、ますます、売りにくい場所に移されていくから、更に売れにくくなる。

芸能人も似たようなもので、いま世間を騒がせているジャニーズなども、「才能」よりも暴露をあげることで「有名」にすることで商品価値を上げていく。有名になるとファンが付くからCMや雑誌やドラマなどの出演が増えて「スター」になっていく。これなども「正帰還」。

商業主義は「正帰還」で成り立っている。常に儲けを最大化するためには、人権などは二の次になる。究極にはAIとロボットが労働を担うようになるのは、当然の帰結。

しかし、アンプでは「負帰還」を組み込むことで音が良くなるそうだ。とはいえ、あえて抑制をすることは商業主義においては有り得る話ではない。

要するに資本主義は「正帰還」で成り立っており、社会が破壊されるまで効率を追求していく。軍事力も似たようなもの。

人間とはなにか。正義とはなにか。幸福とはなにか。平和とな何か。

こうしたことを考えることも「負帰還」であり、「正帰還」社会から脱落していく。