民事と刑事 その2
一般に事件と言うと刑事事件を想起します。
江藤新平らによる司法制度の整備が行われ、1873年(明治6年)2月7日、政府は第37号布告で敵討禁止令を発布し、敵討は禁止されたとのことです。つまり身内が殺害されても仕返しをしてはいけなくなったわけです。
そこで、被害者に代わって社会が加害者に制裁を加えるのが「刑事罰」になるわけです。人を殺害したり傷害を与えることは「社会」に対して害するものということで、「負」には「負」をもって制裁するのが「刑事罰」ということです。
しかし、それは加害者と国との関係のことであって、被害者と加害者の関係は清算できていません。それを補うのが「民事罰」で、与えられた「負」を「正」で精算するものです。つまり、「金銭」に換算して賠償させるわけです。
とはいえ、身内が殺害され加害者が無期懲役などになれば、仮に民事訴訟を起こして賠償金が確定しても現実に取れるわけもありません。昭和54年に「民事執行法」と言うのができて令和3年に改正されたとのことで強制執行で財産を差し押さえたりすることが容易になったようですが、それですべてが解決するようにも思えません。
刑事事件が起きる背景として、国がどこまで責任を負うべきなのかはわかりませんが、危険運転致死傷罪ができることで道交法違反が激減しているという事実もあります。かたや、刑事罰の最長が15年から20年になり、併合罪で加重されると30年に延伸したことで仮釈放も自動的に厳しくなりました。
刑事罰が厳罰化されたからと言って犯罪が減るとも思えませんが、現実に犯罪が減っているようです。減っている背景は「厳罰化」とは別な要因じゃないかと思っていますが、明確な根拠があっていっているわけではありません。
詳しいことを知りたければ「犯罪白書」でも参考にしなければなりませんが、とりあえず日本は治安がいいことになっているので、凶悪犯罪は世界と比べると少ないようです。なぜ、日本では凶悪犯罪が少ないのかには理由があると思いますが、外国のことを知らないので軽々には書ける内容でもないので、そこには触れません。