無期懲役とは

「死刑」とは矯正の可能性がないと判断された刑罰である。国家が被害者に代わって死を持って処罰する。

では、死刑ではなく矯正の余地があるので刑務所でしっかり更生をするようにという判決になることで「無期懲役」という刑罰が確定し、執行されるが、本当に更生されるのであろうか。刑務所に拘禁することで矯正されるのであろうか。

罪状に対して刑罰の程度が決まっているが、その刑罰の程度が更生あるいは矯正とどのような関連を持っているのであろうか。

また、刑務所にいる限り、仮釈放という制度によって社会に復帰する可能性を持っている。 無期懲役に仮釈放があったとしても、仮釈放後の社会内更生は無期限になるので、死ぬまで更生し続けなければならない事となる。

社会復帰を前提にするなら、仮釈放後の生きる目的や意味を持たせる必要がある。つまり、反省させる方法だけではうまくいかないのであって、加害者としての立場や仮釈放後の生活を深く考えなければ仮釈放という制度は機能しない。

服役が長ければ長いほど自主性を失っていくことが、出所後の生活に問題をもたらすことがある。

刑務作業はあくまで罰であって、服役を前提にするなら自立を身につけさせる必要があるが、自立できない状態で仮釈放しても孤立を深め抑圧を生む可能性が高い。

つまり、矯正教育において一番重要なポイントは「自立」することをいかにして身につけさせるかである。

無期懲役受刑者にも刑法28条による仮釈放の適用が認められている。
・刑の執行開始から10年以上経過していること
・改悛の情があること

厳罰化、被害者・遺族の感情を更生保護委員会が配慮する結果、ハードルが年々高くなっている。有期刑の最高刑が20年から30年に引き上げられた結果、無期懲役の仮釈放が30年を下回ることがほとんどない。

無期懲役受刑者が増えているからといって、実はさほどに凶悪犯罪が増えているわけではない。

犯罪白書経書によると、

年末収容人員は,平成18年に昭和31年以降で最多となる8万1,255人を記録したが,平成19年に減少に転じて以降毎年減少し,24年末現在は6万7,008人(前年比4.1%減)であった。

無期懲役受刑者は1998年(平成10年)968人で平均受刑在所期間が20年10ヶ月であった。

新規無期懲役受刑者数:46人

同じく無期懲役受刑者は2012年(平成24年)1,826人で平均受刑在所期間が31年8ヶ月

新規無期懲役受刑者数:34人

要するに仮釈放が適用されないため無期懲役受刑者が倍増しているといえる。

平成10年から24年までの15年間で獄死した無期懲役受刑者は197人。毎年13人が獄死している。仮に30年で仮釈放されるとして40歳の時点で服役すると、仮釈放時70歳になる。そこからの社会復帰は簡単ではない。

社会内処遇規則28条には、仮釈放の条件として
・悔悟の情
・改善更生の意欲
・再犯の恐れがないこと
・保護観察が改善更生のためになること

ただし、社会の感情が是認しない場合はこの限りではない。 とあり、被害者遺族が加害者を許すことはほとんどありえない。

しかし、仮釈放という制度が無期懲役受刑者の希望となればこそ、生きる意欲につながることが、日本に終身刑がないことの理由とされている。

無期懲役受刑者が仮釈放中に凶悪犯罪を犯すことは殆どないが、窃盗などの軽微な犯罪を犯すことがたまにある。その多くの原因は社会が受け入れないために経済的に追い詰められることにある。

2006年には「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」で「改善指導」という項目が設けら、受刑者に対する矯正教育が義務付けられた。2011年の1年間では、一般刑法犯の再犯率が過去最悪の43.8%だった。

刑務所の最大の役割は、受刑者を更生させることより刑期を無事に務めさせて社会に戻すことであった。そのため、刑務所では厳格な規律の維持が大前提であり、矯正教育は副次的にならざるを得ないという側面も否定出来ない上に、職員の人員不足が否めない。

そのうえ、昨今の過剰拘禁(収容人員が100%を超えている現状)という状況下では、規律維持ですら維持が困難な状況になりつつある。

そうなると社会復帰の最も遠い無期懲役受刑者の矯正教育は、後回しにならざるを得ないという現状がある。

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