癌はなぜできるのか

細胞がコントールを逃れて増殖し、塊になることを「腫瘍」という。腫瘍には悪性と良性があり、悪性は増殖すると浸潤し転移する。より厳密に定義すると、「癌」はあらゆる臓器、組織の上皮細胞に発生する悪性の腫瘍を意味する。「肉腫」は非上皮細胞から発生する悪性腫瘍のことで、癌に比べると発生頻度は1%程度。

造血器で発生する癌は「造血器悪性腫瘍」といい、白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などがある。

最初に発生した腫瘍を「原発巣」といい、転移先の腫瘍を「転移巣」という。

」という呼称は主に臨床で使い、「悪性腫瘍」は病理学で使う。「悪性新生物」は主に統計で使う。

癌抑制遺伝子

癌遺伝子がアクセルとすると癌抑制遺伝子はブレーキになる。

浸潤と転移

多くの遺伝子が関わっているため簡単な説明ができない。浸潤と転移の各ステップで様々なタンパク質が作用し、その元となる遺伝子が役割を持つ。

癌による死

①癌細胞が増殖すると出血を起こす

②腫瘍によって臓器本来の機能がブロックされる

③悪液質に陥る

何らかの疾患を原因とする栄養失調により衰弱した状態。悪性腫瘍の末期における炭水化物やタンパク質の代謝変化などを原因とする悪液質を癌悪液質と呼ぶ。体中が炎症に犯されエネルギーを消耗し自分自身を分解しだす。

遺伝子の変異

塩基は4種類あり、そのうちの3種類でアミノ酸を20種類作っている。変異とは遺伝子の塩基配列の何処かが本来と違うことによる。

欠ける、余分が挿入される、書き換わる、一つ塩基が書き換わる(点変異)

細胞分裂1回あたりに付き3~15個程度の変異が確率的に起きる。そのうち遺伝子に関わる部分は1%程度。そうした変異が積み重ならなければ癌にはならない。

間違った塩基が結合すると、そこで反応を止めて間違った塩基を取り除きミスマッチ修復機能が再度、異常をチェックする。

一卵性双生児の研究では遺伝的要因は30%程度で、子宮頸癌、子宮体癌では遺伝的要因はない(環境要因のみ)ことがわかった。突然変異はDNAのどこにでも起きる。

一塩基多型

同じ種のなかの1%以上の個体に見られる個体ごとのゲノムの違い。一塩基多型は30億塩基対の0.1%、300万ヶ所でみられ、それが種の中の個体の違いになっている。

一塩基多型と癌によるゲノムの変異の違いは、正常細胞と癌細胞とで比較してスーパーコンピューターで解析したところ、30種類の兆候(点変異のパターン)が見つかった。

癌に共通する遺伝子

一つの遺伝子の変異から発生する癌は少ない。複数の遺伝子の変異が積み重なって癌に発展する。30~100個の遺伝子に変異が起きていることが少なくない。

癌の発生過程ではゲノムに変異が起こりやすくなる。癌の発生に無関係な遺伝子にもランダムに変異が起こる。肝細胞癌の症例では15個の遺伝子が関与していることがわかっているが、その全てに変異が起きているわけではない。

初期腫瘍が突然変異を誘発し腫瘍が悪性化する。そこで化学療法を処置することで抵抗性を与え再発、悪性化することもある。正常細胞が癌化することにより急激に増殖し、その増殖した細胞に遺伝子変異が加わって行く。その際の遺伝子変異の場所には一貫性がなく多様性を保持してしまう。

ただし、そうした多様性の中において増殖条件を満たした癌細胞が生き残り、増えていく過程で癌細胞が均質化して行くと同時に癌細胞が環境適応していくことで耐性を持つこともある。

転移

原発巣から転移していった癌細胞は転移先の環境に適した変異を持つものが増殖していく。原発巣と転移巣のゲノムを比較すると変異の仕方が違う。

一つの癌組織の中にゲノム変異の異なるいくつかの細胞集団がある。それはランダムな変異で多様な癌組織が生まれ環境適応する細胞が優性となって増殖していく。耐性を持つのもランダムな変異と環境適応により癌細胞への攻撃をかわせる細胞が増殖していく。

ゲノム解析により発癌の機構に切り込んでいけるようになってきた。コンピューター上に癌を作り投薬のシミュレーションを重ねることで治療法が格段に向上する可能性がある。近い将来には癌の分類はゲノムのパターンの種類による時代が来る。

まとめ

東京工業大学と医科歯科大学が結合するとのことであるが、これからの医学にとって「医薬」を抜きには考えられない。結合した大学で新たに薬学部を作る以外に方法はない。

そこをどうするのかであるけれど、なにか考えがあるのでしょう。ITを手に入れた医学大学として、次の一歩が楽しみです。

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