自己組織化の不思議
チリやホコリを乱雑にほったらかしておいても、決して自己組織化することはありません。なぜなら、そこには秩序がないからです。
カブトムシの幼虫からさなぎになる過程で、組織が崩壊し体液となる。その体液が消化管にたまりサナギになると、体液から筋肉や交尾器、角を動かす頭の筋肉などが作られていく。
ここのポイントは「自己崩壊(アポトーシス)」があることで「自己組織化」をすることができる。その繰り返しの中で「成長」していくことができる。
つまり、壊しながら作っていくことが生き物の特徴になる。自己溶解をし、自己組織化によって再生することを繰り返している。
このことを「オートファジー」という。「細胞内の老廃物や有害物質、正常な組織などをすべて回収・分解し、リサイクルして新しいものに作り変えること」
溶解し、自己組織化するとして、いったいなにが「分化誘導」を導いているのか?
分化誘導とは、幹細胞(ステムセル)が、細胞との接触や分化誘導因子などの刺激により、異なる細胞に分化を引き起こすことです。増殖因子を作用させる、特異的な遺伝子導入、低分子化合物による処理など、様々な方法で誘導が行われます。
この、自己組織化を仮に遺伝子が関与していると仮定するなら、自然界における自己組織化として、雪の結晶において、遺伝子が関与するはずもありません。
自己組織化によって、安定しているはずのフラーレン(炭素だけで構成されている多面体)から異なる形状を発生させることができているが、無機物であるのに、生物のような形状変化を起こすことができている。
つまり、生物か無生物かは、根本のところでは物理法則として決まっていることは同じと考えられる。無機物から生物が生まれたタイミングで、生物として必要な結合が固定され、それをコードしたので遺伝子になり、その遺伝子によって再現されるようになったという順序が考えられる。
無生物と生物をつないでいるものの原点が「自己組織化」だと考えられるというお話。