「じわる」という言葉
「じわる」から連想すると「痔悪」、または「イじわる」あたりかと思いきや、「じわじわ来る」の略だそうです。
2015年には、三省堂から「新語大賞」を受賞していると言いますから、ずいぶん前から使われていたようです。そこで、三省堂の「新語大賞」を調べてみました。
2022年は「タイパ」だそうです。「タイム・パフォーマンス」の略。
2021年は「チルい」。これは「chill out」からきているようで、「心地よい」ということらしい。
2020年は「ピエン」。これは「小さな泣き声」の擬音表現のようです。
これらの新語を見る限り、いささか軽薄な印象を否めません。かつては漢文の素養を前提に、欧米から持ち込まれる科学や法律、経済などの、日本になかった概念を「造語」して日本の概念としていったことに比べると、これらの新語は単にスマホで打ち込む文字数を減らそうとしているあたりが動機のような気がします。
たしかに「チャイコフスキー」を「チャイコ」とか、「ロイヤルホスト」を「ロイホ」などと、省略する気持ちはわかりますし、そうした省略形で意味が通じてしまうのも日本語の便利なところかもしれません。ちなみに「ドストエフスキー」を省略すると「ドエス」になりそうですが、スマホの世界ではどう表現しているのでしょうか?
そういえば、「つぼる」という略語もあります。これは「ツボにはまる」の略で、笑いが止まらなくなってしまうことをいうようですが、これはなんとなく理解可能な範疇に入ります。
舶来の言葉を単純にカタカナにして日本語化してしまっている言葉を調べてみましたら、文化庁から「ストレス、リサイクル、ボランティア、レクリエーション、テーマ、サンプル、リフレッシュ、インターネット、ピーク、スタッフ」がベスト10位でした。ようは、本来の意味や概念を、カタカナのまま日本語化してしまい、いまさら日本語に置き換えることが困難になってしまっています。
ちなみに120位まで表示されていますが、これ調べたのも文化庁の役人だと思うと、なんだか国費の無駄使いのような気もします。