「ラピダス」が目指す2ナノ半導体量産
2023年6月6日の記事として元半導体技術者の湯之上隆さんの記事を見つけました。湯之上さんは元日立製作所の技術者で、その当時の日本のシェアは世界の50%を占めていたそうです。
半導体には「メモリー半導体」と、演算を行なう「ロジック半導体」、そしてセンサーなどに使われる「アナログ半導体」の3種類があるそうです。当時の日本はメモリー半導体が主力製品だった。その後、韓国に負け、唯一残ったエルピーダも2012年に倒産しています。
2ナノと言っているのは、ロジック半導体のことで、そもそも、そこに競争力はなかったわけです。つまり、ラピダスの目指す世界は未知の世界で、全く新たな挑戦でしかないわけです。
半導体の微細化は、日本の技術では45ナノで止まっていて、インテルが7~10ナノ、TSMCとサムスンが3ナノで戦っています。日本は9世代遅れているのだそうです。
微細化は一世代進めるだけでも大変な困難を乗り越えなければならないそうで、TSMCもサムスンも気が遠くなるような試行錯誤を経て、技術的課題を乗り越えてきている。それをわずか数年で9世代を飛び越えて量産まで達成するのは夢のような話でしかない。
湯之上さんは、率直に言って「無理」と判断しています。
熊本のTSMSに約5千億円、広島のマイクロンに約500億円、三重のキオクシアとウエスタンデジタルに約千億円を政府が支出するようですが、TSMC熊本工場への日本の出資比率は30%、マイクロンは0%、三重でも50%なので、半導体シェアからすれば日本のプレゼンスが上がるわけではない。
TSMCがなぜ、そこまで到達できたのかと言えばアップルのチップを生産しており、性能を一世代上げるための莫大な資金を稼ぐことができてきたら、ここまで技術の水準を上げることができてきた。
これまで日本の半導体産業が衰退していく過程で、政府や経産省が主導した半導体関連のプロジェクトはことごとく失敗を繰り返してきました。
「リトルリーグの野球少年が、いきなりMLBで二刀流に挑戦する」ような話だそうです。2027年から量産だそうで、リニア新幹線開通と同じころになります。そこまでは生きていたいものです。
2007年に「情報大航海プロジェクト」というのがあって、グーグルやヤフーを超える検索エンジンを作るという触れ込みで大失敗をしていますが、それと同じことを繰り返しそうです。
日本のITなんて、そのレベルなのだから、マイナンバーなんてやめたほうがいいと思います。
それでも、誰も責任を取らないから同じ失敗を繰り返すわけです。三菱では旅客機が飛ばないことになって担当部長はやめたかやめさせられたようです。普通はいられなくなりますよね。
役人と軍人は、洋の東西を問わず、共産主義であろうが独裁主義であろうが民主主義であろうが、思考方法と無責任体質がほとんど同じということのようです。