「不同意性交」という聞きなれない言葉

言葉はどんどん変わっていきます。法務省が自民党の部会で現行の「強制性交罪」の名称を「不同意性交罪」に改めるとのこと。そもそも「強制性交罪」という言葉すら知りませんでした。

2017年に「強姦罪」をやめて「強制性交罪」になっていたのだそうですが、それをさらに「不同意性交罪」に変えるのだそうです。「強制性交」の罪は「暴行や脅迫」を用いることなどが構成要件だったそうですが、そこからおかしい法律だったわけで、今回は罪の構成要件として8つの行為を列挙していて、被害者が「同意しない意思」を表すことを難しい状態にさせたうえで性交をすることとしているとのことです。

1．暴行や脅迫
2．精神的、身体的な障害を生じさせること
3．アルコールや薬物を摂取させること
4．眠っているなど、意識がはっきりしていない状態であること
5．拒絶するいとまを与えないこと（被害者が急に襲われる場合などを想定）
6．恐怖・驚がくさせること
（被害者がショックで体が硬直し、いわゆるフリーズ状態になった場合などを想定）
7．虐待による心理的反応があること
（被害者が長年にわたって性的虐待を受けてきた場合などを想定）
8．経済的・社会的関係の地位に基づく影響力で受ける不利益を憂慮していること
（教師と生徒、上司と部下などを想定）

聞きなれないとはいえ、「不同意性交罪」といえば、おおよそ想像がつきますが、これがかつての「強姦罪」だったとは知りませんでした。なかには男性に対する不同意性交もあるようですが、一般的には被害をうけるのは女性になります。

日本と韓国の間には、いまでも「従軍慰安婦」という問題が解決されないままでいますが、内乱や戦時下では大規模な集団レイプもしばしば発生しているとのことで、古来、征服（侵略）された民族の女性の運命は過酷であるようです。ロシアがウクライナに侵略して、やはり「不同意性交罪」を犯しているようです。

歴史的には有名なのがモンゴル帝国だそうです。世界各地の男性のY染色体を調べた結果、かつてのモンゴル帝国の版図に高率で共通の染色体が検出されたという話もあるとのことです。

2019年に行われたワシントンポストのアンケートでは、アメリカの女子大学生のおよそ4人に1人が性的暴行を受けていることが判明したといいます。

「不同意性交」は、人権蹂躙の最たるものになりますが、差別などを含めて人権軽視がいまだに横行する背景として、それを醸成する「社会」があり、そうした社会を醸成している背景として「人間関係」が大きな影響を与えています。

俗に「性善説」「性悪説」などといいますが、これらは宗教や教育を前提とした価値観のことで「性質」が「善」であるか「悪」であるかは生物としては関係のないことです。むき出しの生物としての野卑を抑えるのが理性で、この「理性」は後天的に形成されるもので、政治や家庭や人間関係が大きな役割を果たすことであることは間違いのないところです。

源氏物語などでも平然と「不同意性交」が書かれており、かつては男と女のふしだらな関係を延々と描いているということで紫式部は地獄に堕ちたと言われていた時代もあったようですが、いまでは、大作家としてNHK大河の主人公にもなっています。