「卵子凍結」という妊娠の先延ばし術
女性の妊娠率は、データによると35歳あたりを境に急激に低下しだし、その逆に流産、その他の懸念が上昇に転じるようです。原因は卵子が「老化」することだそうです。
それに比べると精子は、毎日生産されるので、卵子ほどには老化はしないようです。
卵子を凍結する理由には、一つは不幸にして抗がん治療を受けるようなことになったことや、卵巣を摘出するようなことになることで、卵子を凍結しておくことが「医学的」見地から行われるようです。
もう一つの理由としては、女性が35歳というと働き盛りとしてはキャリアを中断したくない年齢でもあります。これを「社会的」理由と言えるでしょう。
自然の排卵とちがってホルモン注射をして卵子を卵巣の中で成熟させ、頃合いを見て膣から卵巣に針を通して卵子を10個以上吸引し、マイナス196度で瞬間冷凍して保管するのだそうです。
アメリカでは70万円から230万円程度、幅がありますがお金がかかります。日本でも自由診療の為、全学費用を負担しなくてはなりません。50万円から100万円くらい。妊娠までだとするとさらにお金がかかるようです。卵子の凍結も毎年費用が発生します。
そのうえ、肉体的負担もそれなりにあるようです。
2014年の包括的データによると、新生児出生の失敗率は30歳女性で77%、40歳女性で91%であり、2011年の1年間で38歳以上の女性が冷凍卵子で出産した新生児は世界全体でも推定10人程度とのことですので、成功しないことも少なくなさそうです。
出生時100~200万個あった卵母細胞は、10代で30万個、20代で10万個、30代で2~3万個、閉経で検出できなくなるまで加齢にともなって減少していくようです。35歳を過ぎると染色体に異状ができて着床しないケースも増えると指摘されています。そのため、35歳未満での対処が必要となるようです。
おまけ
食品の冷凍技術の記事を参照すると、マイナス1度からマイナス5度までを30分以内に冷凍することが肝心だそうです。
さらにいうとマイナス18度以上に冷やすことでバクテリアの活動を止められるのだそうです。バクテリアが活動することで細胞が壊されていくようです。マイナス18度以上に冷やしてもバクテリアを殺すことは出来ないようです。
さらに安定的に細胞の品質を保つためにはマイナス20~30度まで冷やす必要があるそうですし、温度が一定であるように保つ必要があるとのことです。家庭用冷蔵庫でもマイナス20度くらいには冷やせるようですが開け閉めで温度を一定にすることは難しそうです。
マイナス20度程度でも、化学反応が少しずつであっても進むこと。酸化が進むこと。水分が動くことなどで、徐々に劣化していくのだそうですが、マイナス20~30度くらいまで低温であれば、劣化はかなり抑えられるようです。
季節外れの食材が店頭に並ぶのは、冷凍技術に依存しているのでしょうね。