「大暴落」という本

本なので、話は長い。言わんとするところを大幅に簡略にし、自分の意見を大幅に反映させると、いずれ「大暴落」が起きても不思議がないという話。それは、銀行の破綻であったり、小国の問題行為であったり、何がきっかけになるかはわからない。

しかし、市場がそれに反応して暴落が始まると、連鎖的な反応になって「大暴落」になる。

現実には、例えばウクライナ戦争で長距離ミサイルをウクライナがロシア本土に打ち込むように成れば、ロシアが極地の核ミサイルを使うとか、イスラエルがイランの核施設にミサイルを撃ち込むとか、あるいは、中国が台湾に侵攻するとか、危険はいっぱい転がっている。

あるいは、首都直下地震とか南海トラフ地震でも、世界経済が破綻するきっかけになるかもしれない。

何がきっかけとなったとして、実体経済を遊離する金融経済が回っている世界は、実はぜい弱だ。なぜなら、実体がないということは「虚」であるから。

2024年2月に、日本では1989年以来に株価が最高値を更新したとアナウンスされた。1989年とは昭和64年で平成元年である。バブルが終わりかけていたころで、国内は好景気に沸いた余韻がまだ、残っていた。

では令和6年は好景気位に沸いているのだろうか? むしろ不景気に嘆いている。にもかかわらず株価が最高値を更新するとはどういうことか? 少なくとも、景気を反映しているわけではない。それで儲ける人がいるから上がっているだけでしかない。

日銀は簿価でETFを約37・2兆円保有している。東証プライム市場の時価総額の約7%。J-REIT(リート)2023年9月末時点で簿価が6,565億円。国債保有残高は、2024年6月末時点で588.5兆円。国家予算規模である。

政府が放漫にバラマキをするためにお金が欲しくて国債を発行する。それを日銀がお札を印刷して買い上げる。これを財政ファイナンスという。インフレは、輸入物価の高騰だけから生じるのではなく通貨の信用力低下からも引き起こされる。

円安は金利がどうこうもあるけれど、根本は日本円の信用力が低下していることを示している。

アベノミクスでアベクロバズーカとか言って、出口も考えずに10年間も放漫経営してきた。黒田総裁は2年でインフレ2%といい、日銀職員は「できるわけないじゃん」と思いつつも、トップが世間に公表した以上、日銀スタッフは、できる前提で作文を作りまくっていた。

会社経営であるなら「2年で2%」と言いつつ10年もトップに居座っていたのは厚顔でしかなく、黒田という名は無能という烙印を歴史に刻んだ。欧米なら民間であれ公的機関であれ少なくとも4年で放逐は確実だった。

これって、日本の戦争と同じ構造になっている。

世間では、借金だけでなく債権も大量にあるから日本の金融は平気だという説明をする人がいる。国内に国債を上回る貯金があるから大丈夫だという意見もある。

それは、世界市場が「暴落」することを想定していない能天気な発言でしかない。日本が全く関われないところで、暴落がいつ始まるかなど誰にも分らないが、いったん、暴落が始まれば、債券は紙くずになり、銀行預金も紙くずになる。

日本が発行する国債の引き受け手が瞬時にいなくなれば、日銀は経営破綻する。

民主主義政治は、そもそもがポピュリズムなので、財政出動(借金による放漫経営)し続けるのが政治家の役目になっている。国債といえばもっともらしいが裏書が日本政府となっているだけで政治家の借用証書でしかない。

人口が減少することが確定している日本経済は、少なくとも消費では回らなくなる。消費に変わる経済策が打ち立てられなければGDPは下がる一方になる。それでも一人当たりのGDPを上げることができるのであるならば、世界的に没落する国家であっても、国民的には豊かになれればいい。

資源も食料も輸入に頼っている日本において、世界的なインフレは、円安が景気を直撃する。さらに、円の信用が下がれば円安はなかなか止まらない。

資産があれば、金・銀・プラチナにしておくか、無借金(赤字国債を発行していない)国に移住するかしかない。とりあえずはシンガポールか。あるいは、父母が先に言っている黄泉の国へ早めに行くか。

まさか、黄泉の国では赤字国債など発行していないだろうけれど、経済基盤はどうなっているのだろうか? 行ってみなければわからない。