アルツハイマー病新薬「レカネマブ」の効果
レカネマブ投与群の約13%に脳の腫れ、約17%に脳出血の副作用が見られたのに対し、プラセボ群ではそれぞれ2%と9%にとどまっていた
治験後に薬の忍容性(患者が副作用に耐えうる程度)を評価するフォローアップ試験で3人の患者が死亡していた。3人のうち2人は、いずれも「脳アミロイドアンギオパチー」が原因であった。この状態の患者からアミロイドを除去すれば、血管が破壊され、出血が起こる可能性が高まる。
他1人は、脳に広範囲の腫れと小さな出血が複数あり、レカネマブの使用と関連づけられ、患者の死因であると結論づけた。
レカネマブの添付文書には脳腫脹と微小出血に関する警告があり、抗凝固薬を使用している人に処方する場合は注意するよう促している。
アミロイド濃度が上昇している場合、レカネマブがこの状態の人々の脳からアミロイド斑を除去し、記憶障害の発症を予防できるかどうかを検証している。
脳内の「タウタンパク質」も認知機能の低下や認知症との関連が指摘されており、タウを標的とした治療法を開発している科学者もいる。
活性酸素と呼ばれる有害な分子が、細胞内の抗酸化物質を圧倒してニューロンを損傷し、アルツハイマー病を引き起こすのではないかとして、酸化ストレスを抑制する治療法を模索している研究者もいる。
なんにせよ、アルツハイマー病を改善する薬はこれまでなかったので、改善させる薬がついに登場したことには大いなる前進になっている。
米国での年間費用は日本円で390万円程度なので、日本での薬価も同様な規模になると思われるが標準医療になれば「高額療養費制度」が適用され、実際の負担額は数万円程度に抑えられる。