イスラエルに関して

トランプ大統領が「ガザ地区をアメリカが長期的に所有し再建する」「地区の住民を別の場所に再定住させる」と発言して世界各国の反発を招いている。日本は相変わらず沈黙。
そもそも、1948年にイスラエルが建国を宣言し、その11分後に世界に先駆けて、承認したのがアメリカだった。
現在においてもアメリカはイスラエルに多大な軍事支援を行っている。イスラエル支持に対しては民主党も共和党も、同様の姿勢を示している。というか、「反イスラエル」的な言動は選挙に大きな影響を与えるくらいにユダヤ勢力は巨大な力を持っている。
ところが、18歳から34歳の世代になると、イスラエル支持は減少しており、ガザで行われたイスラエルの非人道的な戦闘に対して否定的な意見が多くなってきている。
ユダヤマネーが政治に深く関与しているだけではなく宗教も絡んでいる。「キリスト教福音派」は、人口の4分の1を占め、アメリカ最大の宗教勢力である。彼らは、神がイスラエルをユダヤ人に与えたと解釈しイスラエルを支持している。
「キリスト教徒が政府に関与しなければ、神に反対し聖書の価値観を否定する者が将来を決めることになる」と訴えている。政治家がイスラエルを支持せず、パレスチナを支持したらその政治家は選挙に負けることになる。
「キリスト教福音派」の人たちの認識では、ガザ地区の被害の動画や民間人の犠牲の情報は、ハマスのフェイクということになっている。
ドイツではショルツ首相が「イスラエルの国家の存立と安全のために立ち上がることがわれわれの使命だ」という背景には、ナチスがかつて行ったユダヤに対する負の歴史を背負っているからだ。
しかし、いまその「国是」とするイスラエル寄りの方針に反発の声も高まり始めている。
イスラエルを守ることには歴史から生じる特別な責任があるなどと言われ、ドイツ政府は今回の軍事衝突でも一貫してイスラエル寄りの姿勢を示している。
ショルツ首相は「イスラエルとその国民の安全はドイツの『国是』だ」「イスラエルの国家の存立と安全のために立ち上がることがわれわれの使命だ」と言っている。
しかし、限度を超えたガザへのイスラエルによる攻撃に対してドイツ政府への反発の声が上がり始めている。
ドイツ政府がイスラエル寄りの姿勢を示すことに66%が賛成しているが、ガザへの攻撃に対しては61%が正当化できないとしている。
メルケル元首相が使う「国是」の意味は「『ホロコーストを2度と繰り返さない』ということ」であるが、ショルツが使う「国是」には、「ホロコーストを起こした歴史的な責任に基づくイスラエルの安全」という意味になっている。
ドイツがナチスによる負の歴史を背負っていながらも、できること、やらなければならないことは、イスラエルに寄り添いながらも、可能な限りイスラエルがその政策を変えるよう影響を及ぼすことである。
かといって「停戦」すれば、その間にハマスが体制を整える可能性も否定できない。このことは、ロシアとウクライナにおいても同様のことである。
ということは、当事国及びイスラエルの発火に油を注いでいるようなアメリカのような第三国だけでは、平和などいつまでも来ることはなく軍事産業のみが肥大化するだけでしかない。
そろそろ、国連が役に立つような機関とするための大改革が必要な時期に来ていることだけは間違いがない。あるいは、いったん、秩序を崩壊(destruction)させてどん底から再構築(construction)するほうが早そうだが、世界の人口が2、3割へることになりそうだ。
ノーベル賞受賞者だとか大臣や博士がこれだけいても、総括してみれば、人類はさほどに賢い生き物ではなさそうだ。