バンドワゴン効果と革命
バンドワゴン効果とは、「時流に乗っている側」「政党や主義などで人気のある側」だと人々に認識されることによって、さらに人が集まったり、人気や支持が加速する状況が作り出されること
バンドとは楽隊のことで、ワゴンは馬車のこと。つまり、楽隊の乗った馬車がくれば人々が集まりだすことをいう。
かんでんCSフォーラム
軍楽隊がワゴン乗ってやってくると、人が集まり、人が集まるとそれを見た人が集まる。そのような効果のことを「バンドワゴン効果」というのだそうです。これは行動経済学に登場する「損失回避性」にも通じることで、ようは「勝ち馬に乗る」という心理だそうです。
世界で強大な独裁政権というと「中国」「ロシア」「イラン」が3強になるでしょう。
その「中国」ではロックダウン解除を求める国民の声に屈してロックダウンを突如としてやめました。イランはヒジャブを被らなかった女性を虐殺したことで体制に不満を持つ国民のデモに発展しました。ロシアはウクライナ戦争による被害者の数が今以上に増えだせば反戦ムードは確実に高まるでしょう。
しかし、だからと言って「革命」が起きるかというと、起きないことに賭ける専門家のほうが多そうです。その理由は、革命には「組織」「戦略」「指導者」の3つがそろわなければ成功しないのが過去からの教訓のようです。
それに、権力者にとってはゴルバチョフの失敗が教訓になっているようです。ゴルバチョフは共産党政治を維持しながら社会・経済・外交で自由度を上げた改革を起こそうとしたそうです。が、改革に体制が耐えられずソ連は崩壊してしまいました。よって独裁者にとっての教訓は、「なまじな改革は命取り」と肝に銘じたようです。
そこで出てくるのが「バンドワゴン効果」で、体制の現状があまりに国民にとって不利益であることへの不満から、体制変革による「希望」を求めて国民が決起することが起きれば、加速度的な動きになる可能性は排除できません。
翻って我が日本では、鎌倉幕府も室町幕府も戦国時代も徳川幕府も明治維新も太平洋戦争の敗戦も、国民は「バンドの乗ったワゴン」を目にすることすらありませんでした。鎌倉幕府には頼朝というカリスマはいたかもしれませんが「組織」も「戦略」もなかった。室町幕府だって新田義貞にしろ足利尊氏にしろ、キムタクほどのスター性があったわけではないし「組織」「戦略」もなかった。
江戸幕府も明治維新も天皇親政も戦後民主主義も、すべて国民が決起した体制転換は一度もなかったわけです。権力者が権力闘争をしカリスマ(権威)を天皇にかぶせて、そのうらで権力を蹂躙して漁夫の利を得るというやり方が奈良・平安時代から定着しています。
日本国民には「ワゴンに乗って人民を引き付けるバンド」は、今までもなかったからこれからもないでしょう。あるいは、そうした「バンド」が出てきたとしても、それが「勝ち馬」とは思わず、体制の変革より自己の保身を優先する民族性であるような気がします。「日和見」であるということは、裏返せば「平和愛好」でもあるということのようですから、中国が戦争でも仕掛けない限りは、「いまのままでいくしかない」ことが決定的な気がします。