ビタミンDと腸内環境
腸の組織に含まれるビタミンDが、ある腸内細菌を増やし、それがリンパ球の一種であるT細胞を刺激してがん細胞を攻撃させている可能性があるという。
がん治療の効き方に患者の腸内細菌叢(マイクロバイオーム)が関係しているらしいことは、2018年に発表された一連の研究で示されていた。
「チェックポイント阻害薬」が効く人とそうでない人の違いとして、腸内でよく見られる細菌に一貫した違いがあるとのこと。
ビタミンDは脂肪分の多い魚や卵の黄身などから取れるほか、太陽の光を浴びることで皮膚内で作られ、代謝や骨、筋肉、神経、免疫系の健康に重要な役割を果たす。
いくつかのデータセットを分析してみると、ビタミンD活性が高い患者は様々なタイプのがんの生存率が高く、免疫治療への反応も良いことがわかった。
太陽光を浴びられない極北の人たちは、どうなのかと思うものの、逆に太陽光をたくさん浴びればいいわけでもない。
ビタミンDに関する遺伝子を操作したマウスと、普通のマウスを一緒のケージに入れると、腫瘍を発症していた方のマウスの腫瘍の成長速度が緩やかになった。その原因は普通のマウスの糞を食べていたことだとわかった。
マウスの腸内細菌叢が関係していることが推察される。「バクテロイデス・フラジリス」という細菌の関与が考えられている。
とはいえ、ビタミンDや「バクテロイデス・フラジリス」という細菌が関与することで、どのようにして免疫系に作用しているのかは解明されていない。
よって、サプリで補給することのリスクも考えなければならないし、過剰になる場合の悪影響もわかっていない。
現時点でわかっていることはマウスでは「目に見えて明らか」な効果があるということだけだ。