プロセスオフィスという耳新しい言葉
欧米企業には業務プロセスを解析、標準化する部門があるという話。そして、日本にはない。
日本には「文書管理」という言葉や商品があるけれど「レコードマネジメント」とは言わない。当然、ドキュメント・マネージャもドキュメント・クラークもいない。
で、少し「プロセスオフィス(Process Office)」について学習する。
プロセスオフィスとは、全社的に業務プロセスを見える化して把握・分析し、その改善や変革、標準化を通して生産性の向上などを図る専門部門のこと
日本企業のカイゼン活動のような部分最適の観点からではなく、全体最適の観点から部門をまたぐ業務プロセスの「カイゼン」などを支援する
と定義されている。このあたりの違いがホワイトカラーの生産性に直結している可能性はある。
しかし、ところで「プロセス」とは何のことか? 辞書には「過程、経過、進行、手順」「処理、手続きにおける段階を意味する」のように書かれている。英英辞典では「特定の結果を達成するために行われる一連の行為」とある。
このような「プロセス」を分析するオフィスがあるということは、「プロセス・マネージャ」もいることとなる。多くは社内にいて権限を与えられたコンサルタントのように振る舞うらしい。
生産性を上げるためには改善が不可欠になる。改善・見直しをするためには文書化されていなければならない。
日本、とくに有名になった製造業では部分最適の「カイゼン」を積み重ねることで、結果として全体最適をなしてきた。これ以外の方法は日本では考えられない。なぜなら、そこの背景にあるのが「終身雇用」と「年功序列」だからだ。これが日本の組織の民族的・風土的・土着的・固着的文化を形成しているからだ。
それやめたら、今更欧米追随しても追いつくはずはない。血を入れ替え、臓器を入れ替え、骨格を入れ替えるようなものになる。明治初期に日本語やめてフランス語にしようと考えた人(志賀直哉)がいるとのことであるが、日本の労働習慣をやめるに等しいぐらいの「御維新」になる。
「プロセス」を「職務」と言い換えて、どういう単位で「職務」とするかの設計が必要になるが、それができれば、誰がどの程度の負荷をこなしているのかも見えるようになるし、負荷の平準化もしやすくなってくる。
こんなところからもホワイトカラーの生産性を上げることができそうであるが、少子化を止められない日本において、そのようなことができる政治体制にもないし、企業も正面から取り組むことはできそうにない。
国のために金利一つ上げられないくらいに、何をしようにも板挟みになっていて身動きができないのが現在の日本のようだ。