マネージャとリーダー

こんなタイトルの記事がありました。記事の内容としては、特段、参考になるような啓示や含蓄があるようには思えませんでしたが、自分なりに考えてみました。

「マネージャ」とは、辞書では「支配人」「管理人」と訳されます。「リーダー」は「指揮官」「統率者」と訳されます。

つまり、四の五の言うこともなく、明確に位置づけが違います。

マネージャには「中間管理職」というポジションと「トップマネージメント」というポジションがあります。リーダーには「中間指揮官」や「トップリーダー」のような見方はありません。

記事では「マネージャーはタスクの処理に重点を置き、肩書きという正式な権限に依存する」とあり、軍隊で言えば小隊長とか中隊長のように、各階層ごとに管理者として存在するというような位置づけで、配下の人たちは、まず、人的能力以前に階級に従うような仕組みで組織を統率します。

片やリーダーの説明として記事では「リーダーは肩書きの権威に基づいて命令を下すのではなく、自分のアイデアの力とコミュニケーションを通じた説得力によって人々に影響を与える」とあり、これには「?(へぇっ)」って感じがしました。

重ねて「リーダーシップとは、命令したり強制したりするのではなく、人に何かをしたいと思わせることです」ともあり、命令・強制できない「リーダー」が、人々を導けるのかには、「?(へぇっ)」と思わざるを得ません。

そこでgeminiに聞いてみました。

リーダーがチームを正しい方向へ導き、マネージャーがその目標達成をサポートすることで、組織はより大きな成果を上げることができます

リーダー: 新しい製品の開発や、市場の開拓など、部門の将来的なビジョンを示し、チームメンバーを鼓舞して目標達成を目指します。
マネージャー: 日々の業務の遂行、プロジェクトの管理、メンバーの評価などを行います。メンバーが効率的に仕事を進められるようにサポートし、チーム全体の目標達成に貢献します。

こういう説明のほうがしっくりきます。つまりは、リーダー(船頭)は、あっちこっちにいる必要はなく、いてもダメで、達成すべき方向(ビジョンや目標)を示す。それを適切に達成できるように人材を含むリソースの最適化や進捗をマネージャが管理するという適切な階層構造があるべきと思います。

それと、重要な視点としてリーダーには、配下のモチベーションを高揚させるようなカリスマ(人的魅力)を求めたい気もしています。

ショウペンハウアーによれば、「悪意は本人の性格に由来する」とし死ぬまで一生、悪意を持ち続けて生きるしかないそうだ。これにも似て、「リーダー」も「本人の性格に由来する」部分が多分にあるような気がするけど、多くは「慣れ」で克服もできるように思う。

そのいい例が政治家だ。さほど頭脳が明晰でなくても、ながく政治屋としての飯を食うことで、政治屋らしくしゃべったり派閥山のボス猿になったりしているが、金の力と経験(単に食った飯の数)と「権威」で、なんとかできている。

しかし、こういうリーダーが充満してくると、ビジョンは不明確になり、藤井聡太のような先読みの力は欠如しているゆえに官僚の敷いたレールに従うだけになってしまう。

政治という絵図面を見る限り、官僚という「マネージャ」のほうが政治屋という「リーダー」を導いているのは異常なことなのだろう。