人工知能の進化

生物は「進化自体が進化」するという記事を見つけました。

「今の環境に合わせるだけでなく、将来の変化にも即応できるよう自分自身の進化しやすさを高めていく」という。ウイルスや細菌が驚くほど素早く薬剤耐性を獲得する背景にも、こうした仕組みが隠されている可能性があるしい。

進化というと「突然変異」と「環境適応」になるが、そればかりではなく“進化可能性(Evolvability)”という新たな視点が加えられるようになっている。

ウイルスや細菌が薬剤耐性を獲得するスピードの速さを思い浮かべると、ごくわずかな変化が驚くほど速やかに集団へ広がってしまう現象の背景に、「進化可能性」が深く関わっているはずである。

進化というプロセス自体が「将来の変動に備える形」に変化していく可能性はありえることで、それが無ければのんびり環境適応しているわけにはいかない。

「進化しやすさが進化する」という仕組みを理解する鍵は、二つの異なる進化の経路が同時に働くことであることがわかってきている。

一つは、突然変異率を上げる、いわゆる“くじ引きの回数”を増やす戦略。

もう一つの戦略は、小さな変異で別の適応形質に切り替えやすいような自己改革の戦略。

この二つの戦略が、適度に活躍できる環境において生物は強力に進化できるようだ。「カンブリア爆発」というような現象も、このような環境の変化と生物の「進化自体の進化」が作用したと考えられる。

環境がある程度のパターンで変わり続けると、生物は「今の環境への適応」だけでなく「未来の環境へ備える力」を同時に発達させる可能性があるということ。

まとめ

人工知能においても、同様のことが言えそうだ。

「自分自身の進化しやすさを高めていく」というロジックは、ロジックというよりはパラメータの修正になっていくのだと思うけれど、自ら進んでいく方向を見定めて、自らが改良しやすいような自己改良を行っていくようにいずれなる。

そのことと俗にいう「シンギュラリティ」とは別物と思うけれど、人間にはできない「自己改革」をAIでは容易にこなしていくことで、要求に対する最適化が、AI自らの自己改革によって図られていくようになるのは、すぐそこまで来ていると思う。

つまり、生物と同じく「進化が進化する」ことになっていくことは当然のことのような気がする。