人間は「摂理」と「観念」の間で生きる
天上人間一様秋
これは直江兼続の漢詩です。NHK大河の「天地人」では妻夫木聡さんが兼続をやっていました。
ストーリーは忘れてしまいましたが、兜に「愛」の字を入れていたとかで「すごい!」という印象があります。
冒頭の漢詩ですが、いろいろな訳がネットにあがっています。7言絶句ですから「起承転」があるはずですが、その部分は記憶していません。
勝手な解釈をすると「天上と人間が一様になっていく秋になったんだな」と言うことに落ち着きますが、「天上」を「観念」とすれば「人間」を欲のある「摂理」ととらえることができます。
「秋」を人生の終盤としてみると符合します。
武将であるがゆえに戦いは勝たなければならない。しかし、上には上杉謙信や景勝といった上司がいる。そこのはざまで思うようにならなかった部分もきっとあったし、関が原では西軍についた。会津120万石として関が原で家康を挟撃できたとは思うものの、三成が敗走することとなり家康の軍門にくだり、結果として米沢30万石に減封される。
この間、兼続は上司である景勝の経営者としての判断にいろいろあったとは思うけれど、そんなこんなも人生が終盤を迎えてみれば人間の存在などは天上から見れば些細な存在でしかなく、欲望や後悔などの人間ゆえの思いなどは秋の空に一様になっていくという達観した思いとしてとらえています。
叔母の100歳の誕生日に「天上人間一様夏」として贈ったことを思い出しました。彼女の誕生日が7月でしたので。