今から8年前の人工知能
今から8年以上も前にAI将棋の「ポナンザ」が開発された。この時点で名人でもAI将棋に勝てなくなり、世界チャンピオンのイ・セドルもAI碁に負けてしまった(2016年)。
コンピュータは記憶も計算も人間以上に得意であるが、考えることは、まだ人間の方が上であった(はず)。AIが「知能」と呼ばれる所以は、「探索」し「評価」すること限定される。
評価は、プロが打った手を、打たなかった手より「よい」として機械学習をさせる。プロ同士の対局だけでは少なすぎるので、いろいろ工夫をして局面数を増やして学習させる。
評価を人間が発想しているうちはコンピュータ将棋は強くならなかったが、機械学習をさせるようになって俄然強くなった。機械は人間がコードを書かなくても、不思議なことに勝手に学習して『モデル』を作っていく。
人間とコンピュータの根本的な違いは、人間の理解はあくまで「線形」的に成長していくが、コンピュータは「指数」的に成長すること。これは、コップに水を入れるとして半分までが10秒なら、それが「線形」なら残りも10秒になるが、「指数」なら半分までが10秒なら残りは1秒でいいことになる。
よって、人工知能の成長は指数的な成長をするので、いずれ人間の理解を超えていくことは、時間の問題。
「将棋」とか「碁」のような単一の機能の局面では、人間の天才を超える能力を有してしまったが、何をするべきかという自発的な目的設計ができているわけではない。とはいえ、人間が目的を設計できるのは「意味」を感じ「物語」にして理解する人間ならではの能力があるからであるが、それは可能性であると同時に限界でもある。
人工知能が知性を獲得するとするなら、複数(とてつもない)のディープラーニングをつなげた上位のディープラーニングによって達成されるかもしれない。 既にアルファ碁では、次の指し手を予想するディープラーニングと盤面を評価するディープラーニングが協調的に動作し合うことで運用されている。
これは、「ノード」と「ネットワーク」で徐々に解決されていくだろう。その時には、いったいいくつのディプラーニングを接続すればいいのだろうか。
ポナンザを開発した山本一成さんは、現在、他社が開発にしのぎを削る自動運転システムとは異なる手法による自動運転車のメーカーを目指しているという。
2030年 1万台を自社工場で生産する計画で、自動運転は通過点にすぎず、その経験を前提にAGI(汎用人工知能)を作るのが望みだそうである。