公選法違反と判断

石丸伸二が公選法違反の嫌疑がかかっている。
タイミングが素晴らしい。文春はどうやってこのような込み入った情報を入手したのかに最大の興味がある。誰かが漏洩しない限り入手は難しい気がする。
話を聞く限り「アウト」と思う。
石丸氏がいて西岡という人がいて、その配下に「T氏」がいて、T氏が発注した「K社」がある。
キャンセルをしたのに、その機材と人材をそっくり使っていれば、これは客観的にみてキャンセルを構成しないことは明確である。しかも、キャンセルした事情は「買収」になるという指摘があったからである。
この時点で石丸氏が知らないはずはなく、主体的にキャンセルという形態をとって、なおかつボランティアでやらせようと誰が判断したのかはこれからの捜査によるが、この時点で「有罪」「無罪」とは別にして犯罪要件が十分に成立している。
つまり、誰が判断したのかは不明であるが、判断した人間(おそらくはT氏)に最大の責任があるが、大企業や自民党の政治家は別として確認を怠った石丸氏の責任は免れないのが組織である。
ここまでくると言い逃れは見苦しく、全面的に降伏することが好感度を上げられる様に思う。
翻って、自分が「T氏」だったらどういう判断をしたであろうか?
自分だったら買収になることを知らずに「K社」に依頼したことをなんとか胡麻化そうと無い知恵を巡らせて、これと同じ結果を招いていたように思う。浅はかで小賢しい人間が無い知恵を巡らせることで、ほぼ必ず陥る失敗である。
買収が人件費だけのようで、「報酬」にあたるから駄目なようだ。
買収になることが分かった時点で、なぜ、対応を専門家交えて協議せずに「T氏」に一存したのか?
ここの判断ミスが、この事態を招いている。挙句に、T氏とK社での談合で、人件費を機材費に分散させて載せたという疑惑も生じており、これは私文書偽造にあたると思う。些細なことから銃殺にされた田山花袋の「一兵卒の銃殺」にもつながるミスを犯す人間は、絶対にそばに置いてはいけないし、再生のチャンスを与えるべきではないのが組織。
それができなければリーダーの資質に疑問が生じる。組織の本質は、仕事ができる人間が切磋琢磨して、さらに上を目指すべき「場」にしていかなければならない。
まとめると、なぜ、「文春がこのような内輪の話を入手したのか」が最大の疑惑。
次に、買収になるからと言ってキャンセルしたのに、「K社にキャンセルした機材と人材をそのまま使わせた判断を黙認(容認)した主体者は誰なのか」が2つ目の疑惑。
石丸氏が一切を任せていた西岡という人が請求書をもらって支払っているだけなら、単なる経理屋でしかなく任せるに値する「腹心」とは言えない人材に任せたことが3つ目の疑問。
警視庁が温情をかけない限り、立件するかは別として捜査は入る可能性が高い。都知事なら警視総監でも動かせるだろうし。有罪にはならないと思うけれど、管理能力の欠如は免れない。
なんでもすべて計算通りで理路整然と語るけれど、それは自己の範囲においてであって、人に任せればこのように崩落が始まる。政党ともなれば、さらに多くの人材が集まることとなり、独裁でもしない限りあっちこっちから崩落していくことは想像に難くない。
よって、賢い人間は政治にはかかわらなくなり、悪賢い人間は利権を得て椅子にしがみつくことで「政治」という仕組みが政治屋を生産するプラットフォームになる。
まっすぐな木から伐採されると荘子が言っている。出る杭を打っても使い道はない。
石丸氏は、自己の論理性を自負すると同時にフォンテーヌの「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である」こともロジックに入れておくべきである。ガバナンスはわずかな温情と寛容から崩れ去る。