動脈硬化と炎症シグナルの関係
免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」があるとのこと。「自然免疫」は、自己の体の破壊を検知して防御反応を起こす仕組みで、その反応を起こすためにシグナルが発せられる。細胞死によって壊れた細胞から分子が漏れ出てくる。その分子を認識することから近隣の細胞に免疫反応が起こされるという仕組み。
ところが、人間が長寿化することが問題を起こしている。
高齢化によって血管や心臓の細胞が死ぬことに対して免疫が作用してしまうことがある。例えば尿酸結晶の刺激によってインターロイキンという炎症性のタンパク質が作られ、それをマークにして白血球が攻撃をしてしまうことがある。
マウスの実験では尿酸値が低い方が動脈硬化が起きにくいことが分かってきた。
動脈硬化は栄養の取りすぎにより動脈の血管に脂肪が沈着することで血流を阻害する病気であるが、その動脈硬化に自然炎症が役割を果たしていることが分かってきた。コレステロールの結晶が動脈壁の細胞に炎症を生じさせ、そこからシグナルが出されることから免疫が発動され、動脈硬化を悪化せるという循環が起きる。
また、関節リウマチの患者は動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞などを発症するリスクも高いのも自己免疫疾患による影響と考えられる。自然免疫疾患の治療薬として処方されているステロイドも動脈硬化を悪化させている。
動脈硬化の悪化抑制に効果がみられる物質も見つかっている。まだマウスレベルなので製薬となるまではまだ時間がかかるが、少しずつであっても前に進んでいくことで疾病克服に繋いでいくことができる。