卵子の老化と染色体

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センターで、老化した卵子において小さな染色体の数が異常になりやすい原因を、分裂細胞の染色体を個々に追跡する新技術を用いて明らかにした。卵子の染色体数の異常が原因となって起きるダウン症や流産などのメカニズムの解明に貢献することが期待されている。

卵子の生成は、卵母細胞から減数分裂を経て卵子になるというけれど、「減数分裂」の話は難しいので端折る。卵子が受精後に正常に胚発生するためには、減数分裂で正しい数の染色体が卵子に分配されなければならない。

しばしば、染色体に異常が起きてしまうとダウン症などの先天性疾患を引き起こす。卵子が老化すると染色体に異常が起こしやすいことが知られていたが、その原因を解明した。

理化学研究所のチームは、生きた細胞内で個々の染色体を可視化する解析技術を開発したことで、任意の染色体を同定し、同時にその動態を追跡した結果、小さな染色体は紡錘体の内側に配置されやすいことが分かった。老化が進んだ卵母細胞では、小さな染色体が紡錘体内部に配置されることが、分配異常のリスクであると分かった。

ちなみに「紡錘体」とは、細胞分裂において染色体を分配するための構造体のこと。とはいうものの、詳細になると素人の領域を超えてしまうので割愛するけれど、染色体を分配する役割を持っている。特に老化した卵母細胞の小さな染色体は紡錘体内部に配置されることが、分配上のリスクとなっていたようだ。

話を纏めると、卵母細胞は体細胞と同じ染色体を持っている。人の場合だと22+1で23種類46本の染色体がある。卵子は卵母細胞が減数分裂することで23種23本の染色体をもつことで、受精後、正常な胚を発生させられる。

つまり、卵子が古くなる都度にリスクがたかまることが、可視化によってみることができた。