成功者「ジョブス」のことば

私は12歳のとき、ヒューレット・パッカードの共同創業者であるビル・ヒューレットに電話をかけました。
「こんにちは、僕はスティーブ・ジョブズと言います。 年齢は12歳、学生です。周波数カウンターを作りたいのですが、余っている部品があればいただけないでしょうか?」
ビル・ヒューレットは笑って、余っている部品をくれました。
そしてその夏にヒューレット・パッカードでの仕事をくれたのです。私は天にも昇る気持ちでした。

このこと自体が、誰にでも起きることではない。時代もさることながら、まず、ビル・ヒューレットに電話を掛けることすら難しい。

しかし、ジョブスの天才を語るのには格好のエピソードでもある。

次にiPhoneを作るときの話。

ジョブズはコーニング社CEOのウェンデル・ウィークス氏に電話をかけ、必要なガラスについて詳細に説明したら、コーニングで生産に至らなかった強化ガラスを提供することを約束してくれたそうだ。

後に、ウェンデル・ウィークスの事務所に入った人の話として、「あなたなしでは成し遂げられなかった」と書かれたジョブズからの手紙が展示されていたそうだ。

ジョブスは、「成し遂げる人は行動する、助力を求める」といい「成し遂げられない人は夢想して終わる」という。

しかし、「行動」すれば「夢想」に終わらないのかと言えば、おおかたは「挫折」する。ジョブスが行動して世に出した初期のころの「iPod」を見たとき、天才が時代を変えたことを実感した。

iPodが2001年だそうで、iPhoneが2007年だとか。iPodの時からiPhoneの構想を、ジョブスは持っていたのだろう。

日本では東大というだけで大いに持ち上げるが、頭がいいからと言って世の中を変えられるわけではない。ルイス・ターマン(1877~1956)の研究では、千人を超えるIQ140以上の子供たちを中年になるまで追跡した結果としてノーベル賞受賞者は1人もいなかった。ターマンの子供に選ばれなかった人からは2人のノーベル賞受賞者が出ていた。

つまり、知能が高いだけでは、事を為すことにはつながらない。せいぜい、官僚になるくらいが最適な選択になる。なまじ、民間企業に入るのであれば「お役所」化した大企業でもない限り、「東大出のくせに」と言われていじめ倒されるのがオチ。

渋沢栄一が大蔵省のポストをとっとと辞めて第一国立銀行を設立し、三井と小野組の上になって銀行を切り盛りし出したのは34歳の時だった。事を成すのに年齢もさほどには影響がないのに、政治の世界では爺と婆がひしめいている。それだけ楽な仕事であるということだし、新たな知識を必要としていないということ。

これなら、30年停滞するのも当たり前。

それは、政治だけでなく上場企業の社長たちを見ても歴然としている。