改善型組織の限界と流動性

動画の内容を要約すると、日本が「敗北」した理由と背景は以下の通りです。

  • かつては世界をリードしていた技術を失った[20:46]
    • 若い世代は、日本がかつて技術で世界をリードしていたことを十分に理解していないかもしれない。
    • 例として、iPhone より前に日本にはモバイルインターネット、モバイルテレビ、モバイル決済システムが存在していた。
  • 競争環境の違い:「ドラゴンクエスト」対 FPS [21:26]
    • 競争環境の変化を説明するために、アナロジー(類推)が紹介されている。
    • 「ドラゴンクエスト」は、組織内で継続的に向上することで成功を収める世界を表している。日本はこのモデルで優れている。
    • FPS(ファーストパーソンシューター)ゲームは、現在の環境を象徴しており、迅速な個人の意思決定と適応性が求められる。日本はこの分野で苦労している。
  • FPS スタイルの競争に適応できない[22:51]
    • 日本は、FPS スタイルのアプローチが必要な分野で弱い。
    • この適応能力の欠如により、特定の分野の衰退につながっている。
  • 押し付けと抵抗のサイクルに陥っている[24:22]
    • 常に改革を求める声があるが、「ドラゴンクエスト」アプローチを重視する人々の抵抗により、行き詰まりが生じている
    • この押し付けと抵抗の動向が、進展を妨げている。

感想

FPS(ファーストパーソンシューター)ゲームは「一人称視点シューティングゲーム」とも呼ばれ、組織論の根本的な違いになる。

コンサルタントの世界では「FPS」は成立しやすいが、大将がいて中将がいて少将がいて大佐がいて中佐がいて少佐がいて大尉がいて中尉がいて少尉がいるような組織には、全く向かない。

かといって全員が「FPS」だとするとマネジメントは不可能になる。

かつては「ドラクエ」スタイルで積み上げることで工業製品を世に出し、品質によって世界を席巻できたが、現下のような多様性社会においては、大量生産は中国に勝てるはずがない。

かといってアメリカのような、そもそもがFPSから始まったイノベーティブな起業を育てる経済・社会の構造になっていない。なぜなら、権力を持つ連中は全て「ドラクエ」型での組織運営しか知らないのだから。

トランプとマスクがやっている連邦政府の破壊的改革は、硬直した組織運営をターゲットにしているのではなく、「公務員」という自堕落で横着な労働者の一掃と民主党政権時にたまった「垢」おとしになるようだけれど、日本でも同様のことをやらなければ根本は変えられない。

ただし、アメリカでは官僚は政治家の手先として存在しているが、日本では官僚の手先が政治家だから、よほどの政治手腕を持った政党が圧倒的与党にならない限り官僚機構の破壊と再建は、きっと無理だろう。

いま、かつての大戦のようなことが起きたとしても、当然の帰結として同じように壊滅的破壊を受けざるを得ない。なぜなら、あのころ(戦後?、戦前?)から国家の基本は「ドラクエ」スタイルのままで、なにも変わっていない。

これで30年停滞するなんて、当たり前すぎるのに、放置してきた。メディアも学者も評論家も、どいつもこいつも「間抜け」ってことだ。