政治的裏切り
Newsweekの記事で「『究極の政治的裏切り』を先に決断するのは、プーチンかゼレンスキーか?」という厳しいタイトルの記事がありました。
ドゴールは「祖国か世論かのいずれかを裏切らねばならないときがある」と言っています。カントは「外交を通じて平和を実現するか、茫漠たるせん滅戦争に陥るか」と突き付けていますが、往々にして政治は後者を選んできました。
2014年、ウクライナ領のクリミア半島が突如独立を宣言し、「クリミア共和国」を一方的に樹立し、ロシアに併合されてしまいました。一応、クリミアの住民投票という形をとっていますが、ロシアの影がちらつくことは明白でした。
現在、モルドバでも同じようなことが進行しています。
それには民族的な背景や歴史的な背景があるのでしょうから、そのことに関して凡愚に意見があるわけではありません。
ただ、世界の常識としてウクライナ国民のなかの「親ロシア派」と言われる住民が望んだからと言って、主権国家に軍隊を送り込んで殺戮や都市を破壊する不法行為が堂々と進行していることに驚くと同時に、それを止める有効な手段が国連に用意されていないことにも呆れてしまいます。
ウクライナのゼレンスキーは、国土をロシアに1ミリたりとも渡さないことを国民に約束している。一方のプーチンのウクライナに対する望みとは何か?
ウクライナに関するプーチンの終局点は明確には分かっていませんが、いくつかの可能性があります。
まず、プーチンはウクライナの支配権を取り戻すことを望んでいると考えられています。具体的には、クリミア半島をロシアに編入すること、およびウクライナ東部のドンバス地域において、ロシアによる影響力の維持を確保することが挙げられます。プーチンは、これらの地域に住むロシア系住民を保護するという名目で、ウクライナへの影響力を維持することを望んでいると考えられています。
また、プーチンは、ウクライナが西側諸国の影響下に置かれることを防ぎたいとも考えられています。彼は、ウクライナがEUやNATOに加盟することを望んでいないと公言しています。そのため、ウクライナを自国の影響下に置き、西側諸国から遠ざけることが、プーチンが望む結果である可能性があります。
最後に、プーチンは、自身の政治的地位を強化することを目的としている可能性もあります。ウクライナにおいてロシアの影響力を維持することで、プーチンはロシア国内での支持を獲得し、政治的地位を強化することができると考えられています。
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最低でもクリミア半島をロシアにすること。願わくばウクライナ東部をロシアに併合すること。これらに対していささかでも譲歩すればプーチンの政治生命は終わってしまうでしょう。
となると外交的な決着で平和裏に終結させることはなさそうです。となれば、いずれか一方が「まいりました」というまでは決着がつかないこととなります。
それは、「譲歩」であれ「降伏」であれ、いずれかの国民を裏切ることになります。かといって、クリミアのロシア併合を認める代わりに東部はウクライナのものとする妥結案で手を打つなら、ゼレンスキーもプーチンも、それぞれの国民に対して裏切ることとなります。
勇ましいのは大いにいいとしても、国民経済という現実、軍事力という現実は「絵に描いた餅」では継続できませ。
これは、例えば北方4島は、ロシアによる不法占拠を戦後許してきていますが、政治的には「不法占拠」であることを言い続けていれば国民に対する裏切りにはなりませんが、尖閣に中国が上陸したならば、それを「許す」、あるいは「外交的話し合い」で平和裏の交渉で取り返そうとしても返ってくるはずはなく、国民的には政府による裏切りでしかないわけです。つまり、政治は決断(開戦の)しなければならなくなります。
勇ましいことは大いに結構ですが、現実の政治は「祖国」か「国民感情」かの狭間でいずれかを裏ぎらざるを得ない局面が、おそらくは唯一の妥協点である可能性が高そうです。ということは、まだまだ終結はしないということになりそうです。