日本の南にある巨大な水塊

日本列島の南方海域の海中にある巨大な水塊が、台風の発達や衰弱に影響を与えるとのこと。

この水塊の名前は「亜熱帯モード水」という。深さが100~500メートルあり、これが薄くなると台風の勢いを強めるという発見があった。

海洋の水温は海面から深さ約1キロまでは深さとともに低下するが、深さ数百メートルにわたりほとんど変わらない層がある。このような水塊の層は「モード水」と呼ぶ。

亜熱帯モード水は、冬に黒潮が南から運んできた表層の暖かい水が北西の季節風で冷やされて海面から深さ500メートル以上に達する上下の対流が起きて形成される。

この「亜熱帯モード水」は、「モード水」の存在は知られており、10年周期での増減までわかっていたが、えいきょうについては知られていなかった。

調査によると2015年ころに暑さがピークになり、その後、黒潮の影響で100メートルほど薄くなっていた。その影響で水面の温度が1度ほど上昇していた。

2015年ころに比べると、気圧に影響を及ぼすようで、「亜熱帯モード水」が薄くなると台風が発達するように作用することが分かった。

海面の温度が高いと、海水が蒸発し、大気中で熱を放出して凝結する。この放出熱が台風を発達させる。

「亜熱帯モード水」によって、平均の2倍の速度で温暖化している。今後、2100年までに「亜熱帯モード水」の厚さは30~40%ほど薄くなると予想されている。

このことによって、台風への影響のほかに、海中の栄養水が減少することで、水産業の生産性が減少すると考えられる。