日本経済の目指す先

昔の日本は、今ほどの人数が働いていなかった。それが、どんどん働かなくてはいけなくなってきた。昔は一家にテレビや電話は1台だったが、今では一人が1台。

ちょっと昔、アメリカでは一家に1台車があったことで驚いたぐらいに、日本では金持ち以外は車なんて持っていなかった。日本が目指したのはアメリカ的物質的豊かさを目指してきた。

下村湖人が書いた「次郎物語」の時代は五・一五や二・二六が起きるような時代背景の日本が書かれているけれど、次郎のおっかさんが結核になるとおっかさんの実家に次郎が預けられる。おっかさんの実家は老若男女が何人いるか分からないくらいの大家族に次郎がいてもいなくても大勢に影響がないくらい。

そんな大家族がとんと見当たらなくなっている。それぞれが労働してお金を稼いでいる。田舎に生まれると就職先がないから都会に出る。学歴が無いと企業は雇ってくれないからみんな大学に行く。お金がかかる生活になるので子供が一人かせいぜい二人。へたすれば結婚すらしない。

それでも車に乗ってスマホ使って、それなりに豊かさを謳歌しているけれど、人口は減少の一途。これは政策が悪かったというよりは価値観が変わった結果であることの方が大きい。

日本がGDPで中国に負けて久しいけれど、あっちの人口は10倍以上あるのだから、負けていた方がおかしいくら。金持ちになった中国人を迎え入れてお金を吸い上げようというのがアベノミクスのインバウンドだったけれど、それで日本が豊かになれるとも思えない。

日本の文化や言語。あるいは識字率や他者への思いやりとか安全性。それの基本となる道徳観などは、どんなに政治が悪かろうともへぼヘボな文部省教育であろうが、これから10年20年は続けられていくと思う。社会保障もサービスは低下していくだろうけれど、まだ10年や20年は何とかなる。

日本経済が衰退していくのは事実だろうから海外移住したほうがいいという意見もある。

白人社会では、間違いなく黄色人種をそうそう簡単には受け入れてはくれない。アメリカの半分は白人主義者だし、オーストラリアもドル360円のころに、有色人種を受け入れていなかった。ましてヨーロッパでは、おそらく想像を絶する人種差別が横行している。まして、男なら身長が最低でも180センチは欲しい。身長差がコンプレックスになる。

同じ黄色人種でも張本は野球で頑張ったから凄惨な差別を受けなかったとのこと。それが、少しお金を持っているくらいで白人社会に行ったとしても、普通の感覚や能力の人間なら、溶け込めるはずもい。

となると、経済的に成長することが見込まれている東南アジアで治安がよさそうな国に移住するのがよさそうなことになるけれど、戦時中のことを覚えているお年寄りもいるだろうし、気温も風土も違うし、もちろん言葉も違う。

才覚があればお金は儲けられるかもしれないけれど、それで幸福なれるとは限らない。

一つの解決策としては、次郎物語の時代のように大家族化を目指して田舎に住むのもありそうなこと。年金受給者が4人くらいいれば10人くらいで生活はできそう。