組織心理学《01》

組織心理学とは

人びとの熱心さは、報酬よりも同僚がどれだけ熱心に働くかによって大きく左右される。どのような組織にも、その中に多くの集団(サブカルチャー)が存在しており、その集団が職務遂行の質と量に対する基準を形成していた。

組織の構成員は管理者であれ従事者であれ心理的な全体としての「組織」が存在しており、各人の仕事の質や量は「全体としての組織」についてのイメージと関連している。

急速に変化する社会環境に対する適応能力は、組織に従事する個々の構成員が持つユニークな能力を成長させる組織環境をどのようにして作り出せるのか? 組織は、こうした「個人的」成長抜きには、変化する外部環境に対する適応を果たせなくなる。

組織とは何か

組織を作る目的は、一人ではできないことが組織を形成することで様々なことが実現可能になることである。最大の組織が社会であり国家である。

相互に互助することであり、そのための有効な「調整」をすることに尽きる。調整を通じて何らかの共通目標(あるいは目的)を達成するための「合意」が必要になる。

分業は「職能」の分化と密接に結びついている。合理的根拠に基づいて職能を分化(分業)させることで多様な目標を達成することができるようになる。組織は、相互に依存しあった組み合わせで構成されている。

各部門が共通に合意した目標に対して進むために「統合」する機能が必要になる。その一つの方策が「権限の階層」である。

調整には、何らかの権威に従うことを暗示している。調整が暗示する権威には「自己統制」から「専制」にまで渡りうる。統合を可能にする統制原理には、組織の本質的な考え方に尽きる。

ここまで

組織とは、分業統合によって、多様な目標を達成することができる。そこで前提となるのが「調整」になる。

調整を担うことにおいて不可欠なことは「合意」になる。

調整とは、組織にとって成果の「統合」になる。

「調整」及び「統合」には、一般的には「権限」が前提となる。といっても、すべてにおいて「権限」が必要なのではなく、「自己統制」から「専制」までの段階がある。

日本企業においての強みは、各「分業」単位での「自己統制」であったが、人間の判断やノウハウをIT化することで、さまざまな意思決定を現場依存から管理層の判断にすることができるようになってきた。このことこそが「DX」が目指すところになる。

つまり、「判断」は、単に「権限」だけで行うのではなく、的確な「情報」が前提となる。よって、IT化が圧倒的に進んでいるアメリカ企業に、日本企業は太刀打ちできなくなっている。

分業」と「統合」と「調整」において速度を維持できているか、あるいは「創造」における組織力、あるいは担当者の帰属意識などが有効に作用している組織体においては、組織として優位に立てていられる。

組織の強みは、意思決定の速さは大きな要素になる。ユニクロは月曜の午前に会議をして前週のレビューから、その週の対応を決定すると、午後には各店舗では対応がはじまるそうである。小売りの強みは商品、プライスはもとより、分析と反映。そしてそれに従おうとする従事者の意志と帰属意識が組織を支えている。

企業が大きくなるにしたがって権限の階層が深くなるほどに意思決定は遅くなり、また、各ポジションの権限者は責任を回避することもあって決定をしようとしなくなる。この層が厚くなるほど、組織力は鈍化してしまう。