老化を遅らせることはできるか
抗酸化サプリメントで効果が認められた物はない。
抗酸化ビタミンは、過剰に摂取すると有害になりうる。
ポリフェノールは、諸刃の剣。
コエンザイムQの抗老化作用が有るという主張は疑わしい。
リコペン、β-カロテン、ルティン等を大量摂取すると肺がんはじめ死亡者が増えたため実験は中止した。
ホルモンの人為的投与は生体内の内分泌を乱すことになる。
女性ホルモンの補充をすると乳がんや子宮ガンのリスクが上がる副作用がある。
男性ホルモンの補充により前立腺がんのリスクを高める。
成長ホルモンは、発がんリスクが高まる危険がありアメリカでは治療目的以外での使用は禁止されている。
インスリン機能が低下すると糖尿病を発症するので寿命延長にはならない。
メラトニンは抗酸化作用が認められていて抗老化に期待されたが老化との関連では顧みられなくなった。
カロリー制限による抗老化作用メカニズムは、種を超えた共通の抗老化メカニズムがありそう。
人の場合は、体重減少の大きいヒトほど骨密度の低下率が大きい。骨が弱くなる懸念がある。
運動習慣のある人は癌、心臓血管病、認知症などの加齢関連疾患に対して死亡率が低い。
まとめ
結論は、運動によるカロリー消費が一番よさそうだ。ただし、過激な運動は酸化ストレスが亢進する。適度のアルコール(23グラム程度、お酒なら1合の7割程度)は死亡リスクが最低にするという報告がある。
ようはサプリや薬では延命は難しく、かえって悪影響が出る可能性があるので無駄な抵抗はしないほうがよさそうだ。
歳をとることを「加齢」といい、各内臓がそれなりに定年になってくる。これは自然の摂理であらがえない。また、ひたすら長く生きて得するのは年金ぐらいで、生物としては適当な時期に店じまいをするように作られている。
自分の主観の中だけでしか判断ができないので死ぬことが大層なことのように思えるが、死んで名を残すのはごく一部だし、それだってどこまでが真実として伝わっているのかはわからない。
「紫式部日記」を図書館から借りてきている。平安時代の言葉は今となれば難解なものになってしまっているが、これを現代の言葉にしてしまえば、その時代の雰囲気や思考方法、価値観、生き方を伝えることはきっとできない。
歴史に名を残した人々の結果はもとより、その時代を背景として、その人に後世に名を残すに至った生き方や、その時代そのもののほうが、今を生きる自分には重要な気がする。
時代は、歴史に名を残した有名人や英雄だけで作られているわけではない。圧倒的多数の庶民の喜怒哀楽の上で歴史が作られているとすると、自分の命もその一つでしかない。要は砂粒の一つ一つがなければ九十九里の砂浜にはならないということ。
一つ一つの砂粒の価値を問うことも重要だとは思うけれど、九十九里の砂浜のようなものとして、今に至る全体を構成しているだけだと思うと、個人の寿命の長短はあまり意味がなくて、この世に生を受けたという意味だけでしかない。
つまり、個人の喜怒哀楽や悲喜交交は、その本人にとっての意味でしかなく、単に時代を構成する点としてプロットされているだけということ。