衆議院の解散
【日本国憲法7条3号】
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
三 衆議院を解散すること。
憲法7条は、どのような場合に解散できるのかについては何も規定していない。
第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
それ以外の場合に、解散をしてもよいのか。この点は、憲法制定当初、政界でも憲法学界でも激しく議論された。
現在の実務では、69条の場合でなくとも、7条の文言を根拠に、内閣が天皇に解散をするよう「助言と承認」をすれば解散できるとする解釈が定着している。
俗に「解散は総理大臣の専権事項」などということをまことしやかに言うけれど、憲法では、そのように規定してはいない。すくなくとも「国民のため」でなければならない。
よって、内閣が解散権を行使できるのは、国民に選挙で信を問うべき「特別な事情」がある場合に限定すべきだとする解釈が主流になっている。
つまり、党利党略で解散することは憲法違反の疑いがあることになる。
故安倍晋三内閣では、「第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」を無視していたことも憲法違反であった。
憲法改正というと9条が取りざたされるが、「解散」においてもきちんと規定するべきである。すくなくとも「総理の専権事項」などで、多大な国費を費やす解散をするべきではない。
解散する以上は、なにが「国民のため」であるのか大義を総理は明確に示すべきである。これは、憲法を改正しなくてもできることである。
また、憲法改正に国民投票によることは、あたかもの民主主義でしかない。憲法は国の形を規定する法律であって、何ら知識のないものが徒に関わるべきではない。そのためにはまず、「憲法裁判所」を作るべきであり、裁判員のように無作為に国民から抽出した「憲法審査委員」のような機関を創設して議論させるべきである。
国民投票は茶番であり、徒労であり、無駄な経費を消耗するだけで、結果は期待できない。