記憶は複数のコピーとして保存される

記憶をつかさどる脳の部位である海馬では、ひとつの出来事が少なくとも3つの異なる神経細胞群によって記憶されていることが、最新の研究で明らかになったとのことである。記憶は時間の中で編集されていくことは、日常的に経験されるところでもある。

西田幾多郎がこだわっている「経験」であるが、そんなに難しく考えるより、もっと簡単に考えれば「経験」を記憶するから同じ失敗をしないし、その「経験」を前提に思考を深めたり高めたり出ることになっているはず。

しかし、その記憶は「静的」なものではなく、もっと「動的」なものだという研究が示された。

なぜ、動的かというと、仮に子供のころの記憶がそのままのものもある代わりに、子供頃の経験が現在においても役に立つように変容しているものもある。

ひとつの出来事につき少なくとも3つ以上の異なる神経細胞群で並行して記憶のコピーが生成されることが突き止められた。

マウスでの実験では、長期的な記憶を担っている神経細胞群が、時間の経過と共に鮮明なものへとなっていくメカニズムがあるようだ。これはマウスに限らず人間においても当てはまるらしい。

逆に短期間で書き換えられてしまう記憶もある。その選別や管理がどのようにして行われているのかは不明。

そもそも、どのようにして神経細胞が記憶をし、呼び出すことができるのかも不思議。複数細胞で記憶しているような記事であるが、そうではなく、一つの経験を立体的に記憶しているような気がする。

立体的にきっちり記憶していられなくなり、徐々にその立体が他の経験などによって変形することが「編集」と言われる過程になっているとすると、すこし、それらしい理解になる気がする。

他の経験や単に加齢によって立体的な記憶が変形しすぎると、顔は思い出しているのに名前が出ないなどということになる。

記事のタイトルは「記憶は複数のコピーとして保存」ということであるが、そのことの重要性が理解できなかった。