遺伝子編集したブタの心臓をヒヒで実験中
バイオテクノロジー企業「イー・ジェネシス(eGenesis)が、遺伝子編集したブタの心臓をヒヒの赤ちゃんに移植する実験を実施している。早ければ来年にも、重篤な心疾患を抱えるヒトの乳幼児にブタの心臓を移植したい考えだ。
遺伝子編集ツール「クリスパー(CRISPR)」を使ってブタ遺伝子のおよそ70カ所に編集を加えることで、ブタの臓器をヒトに移植することが可能になるとのこと。
ヒヒを使った実験を2回行っていて、2回とも数日で死んでいる。が、肝臓移植がはじまったころ、移植を受けた患者はほとんど助からなかったが、いまでは何千人も肝移植の恩恵を受けられるようになっている。
アメリカでは臓器移植を待っている患者が10万人以上いて、毎日17人が死んでいるとのこと。研究者は様々な可能性を模索している。異種動物間移植もそのうちの一つになる。
2022年には、実際に豚の心臓を異種動物間移植を受けたベネット氏が2か月で死亡している。当初は豚に特有のウイルスが原因と言われていたが、正確な死因はまだ不明とされている。
この例でも移植する心臓は拒絶反応を無くすために10種類の遺伝子操作が施されており、手術後の拒否反応もなく術後経過は順調のようであったが7週目あたりから心臓に異状が現れ始めて死亡することとなった。
絶反応などではなく、心室を仕切る壁の部分が異常に分厚くなって(肥厚して)硬化し、拡張期心不全に至ったが、ヒトとヒトの間の移植で見られないことのようであった。
また、移植された心臓は、事前にウィルス感染を防ぐための安全な施設で準備されていたが、ベネット氏の死後に発見されたウイルスは、大きな疑問を呈している。
心臓の心室壁が肥大化した原因と、ウィルスの混入経路の解明されることで、人類は一歩前進できるようになる。ただし、医学の進歩が神の領域を超えないとしてのこと。