避けた方がいい薬

世界の高齢(60または65歳以上)外来患者の37%が、潜在的に不適切な薬を服用していると推定されたという記事がありました。

日本では、65歳以上の患者のデータを分析したところ、潜在的に不適切な処方の割合が2014年の26.8%から2019年には43.7%に増えていたそうです。

さまざまなリスクを高め、さまざまな副作用の増加や生活の質の低下の可能性が高くなります。

例えば、40代、50代で服用していた薬剤を60代、70代になっても継続して服用していると、よい効果よりも弊害の方が多くなっていることも少なからずあるとのことです。

ドイツの65歳以上の高齢患者約40万人のうち58%が潜在的に不適切な処方をされていたといいます。

あるいは、かつては医学的に良いとされた処方が、今の医薬においては、不適切となっていることもあるようですが、医師が指針の情報を学習していなければ、かつての「良薬」を処方し続けることなどは、世界中で起きているようです。

米国老年医学会は、高齢者への処方が不適切になりうる薬を「ビアーズ基準」というリストにまとめているようで、日本では国立保健医療科学院が作成した日本版ビアーズ基準や日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」などがあるとのことですが、医師が勉強しなければ仕方がありません。

さらに状況を複雑にしているのが、あっちこっちの個人病院に様々な疾病で通院し、5種類以上の薬を日常的に服用しているようなケースになると、その複合服用の影響は、容易には分からなくなります。

こうした状態を「処方カスケード(処方の連鎖)」というようです。

これはコンビニで売られている食材に使用されている防腐剤や着色料、香料などにも通じることです。それぞれ少量では健康被害にならなくても、複合して長期間摂取していれば影響が出ても不思議はありません。

その上、高齢になることで生理的変化を起こしてきます。薬に対しては代謝が落ちることの影響は計り知れません。

勉強不足な医師の判断よりも、AIに依存するほうが正しい処方が望めそうです。