飢えた犬は食べ物を選り好みしない
中国にある考え方だそうだ。いま、中国では失業者が増えているらしい。電気自動車のBYDでの離職者が急増しているという動画を見ました。それは、残業が減っているので基本給だけではやっていけなくなる人たちが、他の職業に移っているということです。
退職すると1ヶ月分の保証があるようですが、それには人員の制限があるとのことで、我先に離職しているようです。
若者の失業率も増えているようだとのことでした。若い人たちの失業率は、およそ20%と言われているらしいのです。都市部で1800元の仕事2人の募集に2千人が応募しているという情報もあるようです。1800元(×19.58円=35,244円:2023/5/22)という金額だと都市部での生活はかなり厳しいことになります。
中国共産党として実態をどこまで正確に把握しているのかは知る由もありませんが、ここから見えてくることには2つの考え方があると思います。
1つは、このまま失業率が上がるようだとするなら社会が騒然としてきて、共産党の支配体制を不安定化させるのではないかという見方になります。
もう1つの考え方は全く逆で、そこで出てくるのが冒頭の「飢えた犬は食べ物を選り好みしない」という考え方だそうです。それは、人民が豊かになると「食べ物を選り好みするようになる」。つまり、共産党からすれば管理しにくくなるということ。
人民が飢えてくれば饅頭1個でも過酷な労働で働くようになる。だから、コントロールしやすくなるという考え方もあることになります。
日本にも「百姓は生かさず殺さず」と言った人がいました。徳川家康という説と家来の本多佐渡守正信という説があります。本田正信の書いたものに「百姓は、財の余らぬように、不足なきように治むる事、道なり」というのがあるようですが、これが農業政策ではなく、人民統治の基本的な考え方だったと言えそうです。
権力を持つ人や資本家には、右も左も資本主義も共産主義もなく、普遍的に共通する考え方だと言えそうです。しかし、結局は、財を持った商人(経済人)によって武士は放逐させられることになったわけです。「飢えた犬は食べ物を選り好みしない」という政策は、中国共産党を「武士」に例えることができるのであれば、いずれは資本によって放逐される公算が高そうです。