2016年東京都知事選

小池百合子さんの学歴詐称問題は1972年から76年あたりが起点となる。いまからおよそ50年前。

カイロ大学の卒業証明書は、どうもカイロ大学が発行しているようだ。しかし、証言する人は複数いて、それらを総合すると、実際には卒業していないようだ。片方には物証があり、片方には年寄の記憶と伝聞しかない。

カイロ大学に踏み込むだけの外交的・司法的能力でもない限りは覆すことはかなり難しい。

1970年代のエジプトは騒乱の最中であった。そこにオイルをめぐって世界経済は大変な打撃を受けていた。逆に産油国は大儲けをしていた。

エジプトは、ソ連派だったナセルの後にアメリカ派のサダトが大統領になる。

そんな時代を背景に小池百合子の20代がエジプトで始まり、来日したサダト夫人のアテンドをし、日本アラブ協会の嘱託となりアラファトやカダフィの単独会見(おそらくは英語で)を行ったりしている。1979年には、日本テレビの『竹村健一の世相講談』のアシスタントキャスターに抜擢されている。

1988年、テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』初代メインキャスターに就任。

1992年には、細川護熙が日本新党を立ち上げると、「政治を変えるには大きな中古車を修理するのではなく、小さくても新車の方がいい」とのスローガンで参院議員として立候補(40歳)する。

その際に比例名簿で小池百合子が2位だったため、9位の佐藤直子は立候補を取りやめるなど、小池が参加する前から細川を支えてきた党員の一部から強い不満の声が上がるなどした。日本新党は比例区で4議席を獲得。

政治経験が全くなく、キャスター上がりの小池百合子を細川はイチオシで比例2位にしていることは奇怪なこと。女の魅力を存分に発揮している。

翌年の衆議院選挙では旧兵庫2区(定数5:当時は中選挙区だった)において日本社会党元委員長の土井たか子に次ぐ得票数2位で当選した。

非自民非共産の連立による細川内閣が成立し、小池は総務政務次官に就任したが、翌年に政権は崩壊する。

1994年には新進党に参加し小沢一郎の側近になり、1997年の新進党解党後は小沢率いる自由党に参加。

1999年、自民党と自由党の連立(自自連立)に伴う小渕第2次改造内閣の発足に際して経済企画政務次官となり、第1次森内閣まで務める。

2000年には小沢の自由党は分裂し保守党結党に参加。2002年に、自民党に入党。森派に入会。

2003年、小泉内閣で環境大臣(51歳)で初入閣。

2005年、小泉純一郎は郵政民営化により衆議院を解散。郵政民営化を反対し自民党から指名を得られなかった重鎮である小林興起の対立候補として東京10区から立候補して見事小林興起を破る。

2006年に発足した第1次安倍内閣では、内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)。

2007年、防衛大臣就任。2008年には福田康夫の首相辞任において自民党結党以来、女性の自民党総裁選出馬は史上初の総裁選に立候補した。結果は麻生太郎が首相に選出された。

2009年、自民党は民主党に敗れ小池も比例で復活した。自民党総裁になった谷垣禎一の下で党広報本部長を務める。2010年には党役員人事で、自由民主党総務会長に就任した。党三役に女性が就任するのは結党以来初めてのことだった。

2012年、2014年、衆議院選挙で8選。

2016年、東京都知事の舛添要一が辞職。無所属から出馬。女性初の東京都知事に就任した。

小池ゆりこ 2,912,628票:無所属
増田ひろや 1,793,453票:自公推薦
鳥越俊太郎 1,346,103票:民進党。日本共産党推薦

2024年では、
小池百合子 2,918,015票:ステルス自公、連合東京、国民民主推薦
石丸伸二  1,658,363票:無所属
蓮舫    1,283,262票:立憲民主党、日本共産党推薦

2016年の小池百合子は完全無所属で立候補したのに圧勝している。2024年の石丸伸二とでは「1,254,2656票」の差になっている。

これは、単にメディアの扱いだけではなく、「影響力の浸透」の幅と深さによる。

この生き方の巧みさはカイロ大学の学歴など凌駕するに足るものである。が、それは石丸伸二の言う「政治屋」そのものとしての影響力であって、自民党含めて、体質を変えなければならないところに来ていることは自明であるが、有権者の意識は、簡単に変えることは出来ない。

なぜなら高齢者の人生と共に刻まれた歴史を共有しているという事実があるからだ。

「同じ人生、生きてみろ!」と言われて50年の時間の中で東京都知事まで上がれる人は滅多にいるものではない。数奇な人生といっても決して過言ではない。

「偶然」という言葉は、単に主観による捉え方でしかない。すべては「必然」で起きているのだけれど、偶然がつなぎ合わさっているような人生でもある。えてして、歴史に名を残す人には共通している。

人の人生に口出しはできないが、小池百合子は都知事3戦するべきではなかった。小池にとっては有終の美を飾れたし、石丸伸二が都知事になれば政治を変えることができた。