民事と刑事
安倍晋三元総理が殺害されたのが2022年7月8日でした。衝撃的なニュースは世界を駆け巡ったようです。その同じ日に伊藤詩織さんの性被害に対する民事事件の賠償命令が最高裁で確定していたようです。
被害を受けたほうは「望まない性行為」とし、賠償を命令された側は「誘われた」というように真っ向から対立していたわけですが、判決では伊藤さんが誘ったことは「信頼できない」ということでした。
法律に素人の立場からいくつかの「不思議」と思えることを書くと、
・逮捕状が発行されたが逮捕直前に『警視庁幹部の指示』により取り消されたこと
・刑事事件としては「嫌疑不十分」とのことで不起訴
・意識を失っている女性がいたら介抱せずに妻帯者が性行為に及ぶのかということ
・検察審査会は不起訴を覆すだけの理由がないとして「不起訴相当」としたこと
ということは、起訴するだけの犯罪要件が整っていないということと思うのですが、民事裁判では最高裁まで行って「賠償命令」がでています。
似た件で「森友事件」があります。決裁文書から「安倍昭恵」の名前を消すという改ざんを誰かが指示をして赤木さんが実行させられたわけですが、そのことで誰一人として起訴されておらず、検察からの理由は「起訴するに足りる証拠を収集することができなかった」だけでした。
しかし、民事裁判では国側が「認諾」することで結審してしまいました。
「認諾」とは、民事訴訟で被告側が原告の請求を正当と認め、裁判を終わらせることをいうのだそうで、全面的に国側が非を認めたことになります。しかも、賠償金の1億2千万円は国費から支弁されるわけで、国に棄損を与えたわけですから誰かが賠償しなければならないと思うのですが、そういう動きもなさそうです。
民事と刑事の「乖離」について、国会議員にしろ、市井の正義の弁護士にしろ、ことさら問題提起をしていないようですから、乖離などなく整合しているということなのでしょうか、凡愚にはとても奇異に感じました。