左右非対称を考える
共同研究グループは、哺乳類の発生過程の初期に体の左右の違いを決定するシグナルが、「機械的な力」によって制御されていることを明らかにしたという記事を見つけました。
ヒトやマウスの内臓は、心臓が体の左側にあるなど非対称に配置されているが、そのメカニズムは永い間未解明だった。
哺乳類において、左右非対称性を決定する機能を持つことが知られている胚の部位のことを「ノード」という。このノードにおいて「左側を決めるシグナル」が活性化されることにより左側に配置されることが決定される。
それは、「ノードで生じる左向きの体液の流れ」「それを感知する不動繊毛」によってシグナルが活性化するとのこと。
心臓や肝臓のように左右に内臓の位置が決定するのは、ヒトは受精後3週目、マウスは7.5日目に決まる。この位置に異常が生じると先天性の疾患を引き起こしてしまう。
観察はあまりに細かすぎて困難であり、かつては「化学物質説」と「不動繊毛説」があったが、今回の実験で「不動繊毛」によって決定されていることが判明した。
この図は無断でコピーしてきましたが、繊毛の腹側と背側とで反応が異なっており、ノードを流れる液流によって繊毛のセンサーが反応しているとのこと。
2008年に、南部陽一郎さんが「素粒子物理学と核物理学における自発的対称性の破れの発見」で、益川敏英さんと小林誠さんが「クォークが自然界に少なくとも三世代以上あることを予言する、対称性の破れの起源の発見」ということでノーベル賞を受賞しています。
素粒子に対称性の破れがあるように、あるいはアミノ酸に左手型と右手型があって、地球上の生物のアミノ酸は左手型だけが使用されているように、左右には対称性が破れていることが少なくない。
臓器の配置とは関係ないけれど、左手利きは、両親がどちらも右利きでも左利きが生まれる確率は9.5%、片方が左利きでは19.5%、両方が左利きでは26.1%だそうです。これも、少し調べると面白い記事がたくさんあるようですね。いずれ、しらべてみたいです。