CAIとテレワーク
一昔前のことですが「CAI(computer-aided instruction)」という、コンピュータを使った学習方法がありました。いまでは、俗に「e-Learning」と言うと思います。ネットワークが、現在のように普通に使えるようになる前の時代のことだったと思います。
いろいろ調べてみると、IBMが1958年に開発を始め1960年以完成したとありますが、そんなころにはパソコンなどもない時代のことで、パソコンが浸透しだすのが1980年代あたりからCAIの商品開発が盛んになっていったようです。
TDK(東京電気化学工業)が、一時、CAIの製品開発をして、その販売を担当している方から「一人で家でCAIを使って学習するよりも、集合してCAIを使って学習するほうが学習効果が高い」と聞いて、なんとなく実感として分かる気がしました。
人間は、なんといっても社会的動物であって、人との交わりの中で成長していくという考え方は、一般化できるものと思えます。もちろん、そうじゃないとする「個」に帰する成長や発見、発明、創造も多々あるわけで、それらをすべて否定するわけではありませんが、大方のケースでは「集団」があればこそだといえるのではないでしょうか。
かつ、そのことによって「集団」への「帰属(アイデンティティ)」が醸成されるのではないかと思うわけです。
大きな組織を設計したことも運営したこともないので断定的なことは言えませんが、コロナ以来の「テレワーク」ですが、リモートで十全たる業績が上げられるのであれば、これに越したことはありませんが、「組織」と「個」という観点から、どうなんだろうと老爺心ながら考えてしまいます。
社会があって、知識があって、文字ができることで継承できるようになり、蓄積し共有(集団として)することで文化を形成してきたわけで、ここへきて社会の構造を変える試みが成功するのかは、「組織管理技術」に依存するものと考えられます。
ポイントはアメリカの社会とは、いろいろな意味で異なる部分があり、日本型組織を根底から変えることなくリモートワークで組織効率を向上することができるのであればそれに越したことはありません。