「不可視な超微小生物世界のCG」という10年前のCG

最先端の科学や最先端の人類の知識を探求することは、強烈で刺激的なものです。
このような発見が、科学者の原動力になっていることは確かです。
しかし、殆どの医療研究者にとってこのような発見をすることは大きな目標への通過点でしかありません。
大きな目標は病気を撲滅し、病気からの苦しみや悲しみをなくし安心を与え、貧困をなくす事

TED

TEDの講演です。染色体の2本鎖が1本鎖になって細胞が分裂するところなどをCGにしています。速度も、ほとんど実際に即しているという説明でした。

突然変異を重ねることで、こうした仕組みが自然発生するというのが「適者生存」の原点になるのかもしれませんが、それを信じないという人がいることにも一定の理解ができます。

エマージェンス(emergence)」という言葉があって日本語では「創発」と訳されています。

部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。局所的な複数の相互作用が複雑に組織化することで、個別の要素の振る舞いからは予測できないようなシステムが構成される。

翻訳と辞書

その例として脳神経を上げられます。一つ一つの脳神経は、単純な役割しか担えませんが、結果として記憶や思考を司っているわけです。

では、単純な要素をたくさん集めれば組織化が自動的に行われるわけでもないでしょうから、「創発」がどのようにして発生するかは不可思議の世界の出来事でしかないのですが、「ビッグデータ解析」なども、自発的ではないですが、片りんくらいにはかすっていると言えそうです。

突然変異も、ゲノムレベルで考えれば偶発的な塩基の組合せでしかないわけですが、ともかく想像もできないほど微小なレベルの世界で、想像もできないほど複雑で精緻な世界が展開していることがよくわかるCGです。

ヒトのゲノムが30億個あって、遺伝子という集合が3万くらいあって、細胞の数は37兆個という説と60兆個という説があるようですが、正確に数えた人はいないようです。

このそれぞれの細胞の中にゲノムが30億個あり、そのヒトが80億人いるという地球の中のたった一人が自分なのだと考えると存在の稀有と進化に感謝して生きていかなくてはなりませんね。