気球から考える「領空」とは
中国の気球がアメリカの領土を斜めに横切って南東部サウスカロライナ州で撃墜されました。中国はアメリカの行いを理不尽だと罵っています。これは、本当に理不尽なことなのでしょうか。
そこで「領空」について調べてみると、水平については「領土・領水に等しい」となっています。垂直方向に関しては宇宙空間の領有が許されていないので、「宇宙」までとするのが一般的なようですが、では、宇宙空間はどこからなのかということになります。
実は明文化された国際条約はないようです。「大気圏から外側」というと曖昧になってしまいます。
国際航空連盟という民間団体が、地上から100kmを宇宙空間と大気圏の境界線と定義したとのことですが、ここを「カーマンライン」と呼び大気圏と宇宙空間の境界として入るようですが、領空としての関係では確定しているわけではないようです。
今回の気球は20kmだったので明らかな領空侵犯です。
今回の気球はADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)というのを発信していなかったそうです。航空機はADS-Bによって現在の位置と高度を放送するのだそうで、レーダーよりも安いコストで高い品質のトラッキングを可能にすることができるそうですが、義務ではないとのことです。
しかし、気球がどこを飛んでいるのかを追跡する上でも純粋に民間の目的ならばADS-Bを発信している方が合理的です。逆にヨコシマな目的なら発信しないほうが都合がいいですが、目視できる程度の高度ならば隠密でもなさそうです。
ということは、正式な目的があって飛ばしたとするなら、アメリカの出方を見るためであったことが考えられます。正式な目的でないとするなら、共産党が知らないところで何かの内部的な意図をもってやったことも考えられますが、その場合、よほど権力が拮抗していない限りは笑っては済まされないので意図は不明となります。
目的は全く違いますが太平洋戦争で日本軍が風船爆弾を9000個、太平洋を横断させてアメリカに飛ばしています。少なくとも300個程度が北アメリカ大陸に到達したとみられ、アメリカ合衆国西海岸のオレゴン州では6人が死亡したとwikiに書かれています。
ミサイルの時代に気球で爆弾をアメリカに落とすことを目的にした調査で気球を飛ばしたとは考えにくいですが、今の中国は「タキトゥスの罠」というのだそうですが、ようは本当のことを言っても信用されないところに陥っているので、体制が変わることが望まれる国になってしまっています。