「数奇な人生を歩んだメアリーの暗号を解く」を読んでみた
スコットランド女王メアリー・スチュアート(1542〜1587)は、高度に暗号化した手紙を書いていた。
コンピューター科学者であるジョージ・ラスリー氏、オペラ教授であるノーバート・ビールマン氏、日本人の物理学者である友清理士氏の3人は、最近、メアリー・スチュアートが暗号で書いたと思われる50通以上の手紙を発見し、会読するのに成功したという記事が National Geographic に掲載されていた。
メアリーは生まれて6日でスコットランド王になり、5歳でフランス王太子と婚約しフランスで教育を受けた。王太子の母からは、国際外交術とレターロッキングを習った。レターロッキングとは、
手紙を折り畳んだり一部を切り落としたり、あるいは部分的にヒモやワックスで固定したりして封じることで、送り届けられる途中で誰かが読んだらすぐにわかるようにする技術
Gigazine
13世紀から、封筒が生まれる1800年代まで手紙を出す習慣を持っている人々の間で使用されていた。
王太子が死亡し、メアリーはスコットランドへ帰国するものの、貴族が反乱を起こしメアリーは廃位される。そこで従姉妹のエリザベス1世のところに逃げ込むがエリザベスはメアリーを軟禁した。メアリーの手紙を入手し暗号を解読したところ、エリザベス暗殺の陰謀が書かれていたためメアリーを処刑した。
アマチュア暗号研究者であるラスリー氏がフランス国立図書館のデジタルコレクションを閲覧して暗号化された手紙を見つけた。そこで暗号仲間のビールマン氏と友清氏に協力を仰ぎ、解読に着手した。
15万の記号から191種類の記号に分類し、AIを駆使して何語かの推定をしたところ、イタリア語でもスペイン語でもラテン語でもなく、中世のフランス語で3分の1が解読できた。人名や普通の単語も暗号化されていたため、手作業で空白を埋めていき、解読が完了した。
ここから先は歴史家の仕事になる。