宇田川榕菴という蘭学者

榕菴(1798-1846)の養父が宇田川玄真、玄真の養父が宇田川玄随。いずれも津山藩の蘭学者。宇田川榕菴は、植物学や化学を書物にしたとされている。

植物学としては「菩多尼訶経」(ぼたにかきょう)を出版して西洋の植物学を日本に初めて紹介している。化学書としては「舎密開宗」(せいみかいそう)を日本で初めて近代化学を紹介している。

それまで日本になかった用語をあみ出している。

酸素、水素、窒素、炭素、白金といった元素名
元素、金属、酸化、還元、溶解、試薬といった化学用語
細胞、属といった生物学用語
圧力、温度、結晶、沸騰、蒸気、分析、成分、物質、法則といった現在でも日常的に使われている用語

もっと一般的な用語としては「珈琲」。

「珈琲」という字はオランダ語のkoffieに漢字をあてただけではなく、「珈」は女性の髪につける玉飾り、「琲」は玉飾りの紐の意味があり、枝に連なる真っ赤なコーヒーの実を表していると言える

とっておきの津山

こういう人たちがいて、現在の日本があるといえるが、そもそもは、徳川吉宗(1684年-1751年)がキリスト教関連以外の、漢訳洋書輸入の解禁政策が採用され、オランダ語を通じて西洋の学問を学ぶようになることから「蛮学」が「蘭学」になり、そこをベースとして幕末の「洋学」へとなっていく。

戦後の海外から流入してくる情報は、カタカナに置き換えるだけなので、概念の日本語化ができているとは言い難い。中学校から英語を学んでいても、日常会話ができるのには程遠い。

英語能力は世界111ヵ国中で80位だとか(2022年)。間違いなく言えることは、教わる側の問題ではなく、教える側(先生の技量と文科省)に問題がある。